家に地下室があると、秘密基地のような空間を楽しめたり、狭い敷地でも一部屋増やせたりする魅力があります。また、地下は防音性が高いため、スタジオや趣味の部屋など多目的に使えることも魅力的です。ただし、湿気がたまりやすいといったデメリットもあるため、設計前には注意が必要です。
そこで今回は、地下室を設けることによるメリット・デメリットや効果的な活用方法についてご紹介します。また、後悔しないためのポイントも併せてご紹介しますので、地下室を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
地下室を設けて失敗しやすいポイント
地下室を設けて「失敗した」「後悔した」と感じてしまいやすいポイントについてご紹介します。
・湿気がこもりやすい
地下室は一年を通じて恒温であり、夏は涼しく、冬は暖かい環境が保たれます。しかしながら、土壌から水分が放出されるため、湿度が高くなりやすく、通気性も悪く、結露やカビが発生する可能性があります。
そのため、湿気対策に必要な費用を削減しすぎると、地下室を設けたことを後悔する要因となり得るため注意しましょう。
・薄暗い
窓のない地下室に自然光を取り入れるのは困難であり、たとえ半地下でも大きな窓を設けることも容易ではないため、明るさを確保することは思いの外難しいものです。もし、居住空間として地下室を活用した場合は、薄暗くならないように照明計画をしっかりと立てる必要があります。
例えば、ホワイトやベージュなどの膨張色を使用することが有効な方法の一つです。
・浸水リスクがある
東京都下水道局の公式サイトにも「台風や局所的な集中豪雨により半地下建物や地下室での浸水被害が発生しています。ご自身の生命・財産を守るために、対策を講じるようお願いいたします。」と掲載されているように、地下室は一般的な住居空間と比較して浸水リスクが高いです。
浸水が発生すると、内装や床の張り替えなど、大がかりな修復作業が必要になるため、浸水を予防するための出入り口の高さの調整(マウンドアップ)や、防水板や排水ポンプの設置など、十分な対策を講じておく必要があります。
・建築コストが高くなる
地面を掘って作られる地下室は、地上階より建築コストが高くなる傾向があります。これは、事前調査や防水工事、掘削によって出た土の処理費用などが発生するためです。
地下室や半地下を検討する場合は、必ず事前に費用を確認し、全体的にコスト調整を行い、予算オーバーを防ぐようにしましょう。
・用途が定まっていない
単に地下室を作りたいというだけで具体的な用途を考えずに進めてしまうと、後悔する可能性があります。
例えば、地下室を収納スペースとして活用する場合は、換気システムや湿気対策が必要です。また、多目的な空間として使用する場合は、適切な採光対策を検討する必要があります。地下室は後からのリフォームや増改築が難しい部分であるため、事前に使用目的を明確にすることは非常に重要です。
地下室を作るメリット
一方、地下室を設けることで得られるメリットや効果もあります。
・室温を一定に保ちやすい
地下室は地中の温度が1年を通じて安定しているため、冬は地上よりも約10℃高く「12〜13℃」、夏は地上よりも約10℃低く「17〜18℃」辺りになる傾向があり、快適に過ごすことができます。このような安定した環境は、ワインや保存食などを保管する貯蔵室として活用するのに向いています。
また、地下室を居室として活用し多くの時間を過ごす場合でも、冷暖房を使う頻度が少なくなるため、省エネ効果を期待できるでしょう。
・防音性に優れている
地下や半地下にあるお部屋は、周囲が地面で囲まれているため、音漏れが少なく、シアタールームや楽器練習場に最適です。
趣味で楽器を演奏する方や、お子さんの習い事で音楽を学ぶ方にとっては、大きな利点と言えるでしょう。
・土地を有効活用できる
住宅を建てる場合、土地には建ぺい率、容積率、高さ制限などの規制があります。
これらの制限により、理想の間取りやスペースを確保できず、3階建てや4階建てにすることができない場合もあります。
しかし、地下室を活用して特定の条件を満たすことができれば、容積率が緩和され、高さ制限もクリアして3階建てや4階建ての住宅を建てることが可能です。
・耐震性に優れている
実は、地下室は地震に強いスペースです。地面に囲まれてることから、揺れを吸収するコンクリートの一体化が地上の建物よりも優れており、地震による影響が少ないという特徴があります。実際に、大地震で多くの住宅やビルが倒壊した中で、地下街が崩壊したケースは非常に稀です。地下室が常に受けている土や水の圧力に比べると、地震の負荷ははるかに小さいため、地震に対して非常に頑強であるといえます。
後悔しない地下室づくりをするためにできること
地下室を設けることによるデメリット・メリットについて説明しましたが、続いて、後悔しないために事前に意識しておきたいポイントについてもご紹介します。
・水災害のリスクを確認する
最近増加しているゲリラ豪雨や台風による川の氾濫や浸水など、水の脅威を再認識する人が増えています。ハザードマップを確認してから土地を選んだにもかかわらず、地理的に不安定な場所がたくさんあります。そして、地下室がある場合、水が流入することについての不安があります。
将来のリスクを考えて、地下室を設ける場所として適しているかを入念に確認しておくようにしましょう。
・湿気対策を施す
地下室は湿気がたまりやすい環境であるため、換気システムや除湿システムを事前に適切に整備することが重要です。家電量販店で販売されているようなものではなく、家の設備として設置可能なものが望ましいでしょう。
また、排水の設備も整えておくことが必要です。水分自体を排出しなければ、換気だけでは不十分です。
・家の周りにドライエリアを設置
ドライエリアとは、地下室と地面の間に掘り下げられた空間を指します。
このスペースは、中庭のように使われ、ドライエリアを設置することで、過剰な湿気を排出しながら自然光を取り込み、心地良い風を送り込むことができます。
また、地下室においては、避難経路を確保することが必要ですが、ドライエリアを設けることで、そのような機能も果たすことが可能です。
地下室の活用方法
最後に、地下室の活用例についてご紹介します。
・食品保管庫
地下室は地上の部屋と比べて温度変化が少ないため、食品の保存に適しています。例えば、ワインの保管や災害時の非常用食料庫として利用することが可能です。
また、温度変化が少ないため、エアコンの使用を抑えることができ、省エネにつながります。
・ホームシアター
忙しくて映画館に行く時間がない人にとって、DVDやサブスク配信を自宅で楽しむことが一般的なスタイルかもしれません。ただ、テレビやスマホで鑑賞するとスケール感が失われることがあります。
そのため、音が外に漏れにくい地下室を設けることで、大画面で迫力のある映像を大音量で楽しむことが可能になります。
・音楽スタジオやカラオケルーム
地下室は音漏れが少ないため、防音対策を施すことで音楽スタジオとしても使えます。ギターやピアノ、ドラムなど、さまざまな楽器を気にせず演奏することができます。バンドを組んでいる人はもちろん、子供の練習にも最適です。
また、通信カラオケ機器やスピーカー、マイク、アンプなどを設置してカラオケルームとしても利用することができます。
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