土間のある家が人気な理由と家を建てる際のポイントを解説

昔ながらの日本家屋に見られる「土間」は、最近の住宅でも改めて注目を集めています。玄関とリビングをゆるやかにつなぎ、土足のまま使えるスペースとして設けられることが多い「土間のある家」は、バイクや自転車のメンテナンススペース、趣味の道具置き場、ホームキャンプのような演出など、活用方法が多岐にわたります。

しかし、実際に導入するとなると、素材選びや寒さ・湿気対策、段差による安全面などの検討事項があり、しっかりとした計画が不可欠です。

本記事では「土間のある家が人気な理由と家を建てる際のポイント」をテーマに、土間の特徴やメリット・デメリットを整理しながら、豊富な活用アイデアや施工事例もご紹介します。

土間のある家とは

土間とは、室内でありながら土足で利用できる床面がコンクリートやモルタル仕上げになっているスペースを指します。

かつては農家などで土間が炊事場や作業場として使われていましたが、近代的な住宅でも玄関やリビングの延長として再注目を集めています。

土間は扉や仕切りで明確に区切らず、外部に近い感覚で使える半屋内的なスペースといえます。土足で使えるため、屋外から持ち込んだ道具や作業物をそのまま取り扱いやすいメリットがあります。

また、どのように使うかは施主のアイデア次第です。サイクルスペースとして愛車を飾るも良し、ペットの足洗い場や子どもの遊び場として活用することもできます。

土間のある家が人気な理由

近年、注文住宅やリノベーションで土間を取り入れるケースが増えています。その背景には、ライフスタイルの多様化やデザイン性へのこだわりなど、いくつかの要因があります。

一つは趣味空間としての活用です。サイクリングやアウトドア、ガーデニングなど、土間スペースを趣味の拠点にできるため、屋外装備をスムーズに出し入れしやすくなります。

また、フローリングと土間の段差を極力抑えれば、リビングとの一体感が増し、空間にゆとりが生まれるというメリットも期待できます。

デザインのアクセントとしても注目を集めておりますコンクリートやタイル仕上げによる質感や色味が、インテリアに個性的なアクセントを加えやすいと人気を呼んでいます。

土間のある家を建てる際のポイント

土間は室内空間と外部空間をつなぐ重要な役割を担うため、設計段階での細かな配慮が欠かせません。ここでは3つの主要ポイントを紹介します。

ポイント①活用方法を決める

土間の用途を具体的にイメージすることが大切です。例えば、アウトドア用品の保管やメンテナンススペースとして使うなら、収納棚やフックを計画的に配置し、壁や天井に傷や汚れがつきにくい素材を使うと良いでしょう。

ペットの部屋として考える場合は、床材の防水性や掃除のしやすさを重視するなど、活用目的に合わせて設計を行う必要があります。

ポイント②土間の素材を決める

一般的にはコンクリートやモルタルが用いられますが、タイル貼りを選ぶ場合もあります。それぞれ以下の特徴があります。

  • ・コンクリート・モルタル:シンプルでコストを抑えやすいが、表面にひびが入ることもある
  • ・タイル:デザインのバリエーションが豊富で、汚れが落としやすいが、コストが上がりやすい

また、滑りにくさや耐久性、掃除のしやすさなどを考慮して素材を選定しましょう。

ポイント③寒さ・湿気対策を講じる

土間は床下からの冷気が伝わりやすく、冬場には室内に冷気が流れ込むことがあります。断熱材をきちんと入れたり、床暖房を部分的に導入するなどの工夫が必要です。

さらに、コンクリート面は湿気が溜まりやすいケースもあるため、換気計画や除湿機の設置などを検討すると快適に保てます。

土間のある家のメリット

土間スペースを設けることで得られる利点は多彩です。

ライフスタイルや家族構成に合わせて自由にアレンジできる点が、土間の最大の魅力といえます。

メリット①土足で使用できる

土間は床材が丈夫で汚れがつきにくいため、靴を脱がずに利用できるのが最大の特徴です。頻繁に屋外作業を行う方や、屋外からの動線を重要視する方にとって便利で、掃除の手間も軽減されます。

メリット②水濡れに強い

洗車用具の洗浄やガーデニングで使うホースなど、少々水がこぼれても大きなダメージになりにくいです。雨具やレインコートを干す場所としても重宝するため、梅雨や雨の日でも使い勝手が良いと言えます。

メリット③汚れを気にする必要がない

玄関から続く土間を整備しておけば、汚れた靴や道具をそのまま置いてもフローリングを傷つける心配が少なくなります。

例えばアウトドアやスポーツ帰りなど、汚れがちな道具を土間に一時保管しておけば、家の奥まで持ち込むリスクを避けられます。

メリット④個性的な空間を作れる

土間は日本の伝統的な住まいのイメージを残しながら、モダンなデザインとも相性が良いです。コンクリートやタイルの質感を活かし、インテリアのアクセントとして取り入れることで、他にはない個性的な空間を演出できます。

メリット⑤さまざまな用途で使用できる

たとえば、以下のような用途での使用が可能となります。

  • ・DIYスペース:木工や塗装作業など、室内と屋外の中間的な場所で作業しやすい
  • ・自転車やバイクのメンテナンス:オイルや泥汚れがついても土間なら処理しやすい
  • ・ペットの足洗い場:外出後の足を簡単に洗ってからリビングに入れる

活用次第でライフスタイルを大きく変えられる可能性を持つのが土間の魅力です。

土間のある家の注意点

一方で、土間を設けることにはデメリットや注意すべき点もあります。
事前に把握して対策を講じることで、トラブルを回避しやすくなります。

注意点①段差ができる

土間とフローリングの間には高さの差が生じるため、子どもや高齢者がつまずく可能性があります。段差をなるべく低く設計したり、手すりを設けるなど安全対策が必要です。

注意点②素材によって機能性が異なる

コンクリートやモルタルはヒビ割れや汚れが目立ちやすい場合がある一方で、タイルは滑りやすくなるリスクがあります。素材選定時には、耐久性やメンテナンス性に加え、見た目や滑りにくさなども考慮することが大切です。

注意点③場所によってはデッドスペースになる

設計を誤ると広い土間が無駄に余ってしまい、使いこなせないままデッドスペースになる可能性があります。

収納や机、椅子などを配置して有効活用できるよう、あらかじめプランをしっかり練っておきましょう。

土間を有効に活用するためのコツ

土間スペースを快適に使うには、広さや動線、設備などをしっかり計画することが欠かせません。以下のコツを押さえておくと、使い勝手が格段に向上します。

コツ①広さと動線を考慮する

土間に家具や棚を配置する場合、動線が狭くなると土間の利点が活かせなくなります。自転車やベビーカーを置くのであれば、最低でも人が横を通れるスペースを確保して、ぶつからないようレイアウトを決めましょう。

コツ②必要な設備を揃える

屋外と同様に使える土間だからこそ、水栓や排水設備があるとさらに便利になります。外作業後にそのまま手や道具を洗えるため、室内のキッチンや洗面所まで行く手間を省けます。防水コンセントを設置すれば、電動工具の使用などにも活かせます。

土間のある家を建てるためには?

土間を取り入れた住宅を新築・リフォームする場合は、以下の2つのステップを踏んで計画を進めるとスムーズです。

実績豊富な工務店・ハウスメーカーに相談する

土間の設計には、断熱や湿気対策、段差処理などのノウハウが欠かせません。実績豊富な工務店やハウスメーカーに依頼し、自分のライフスタイルや予算、敷地条件に合ったプランを提案してもらうことで、満足度の高い家づくりが期待できます。

住宅展示場で実物を見る

ネットやカタログだけではわからない、土間の広さや床材の質感は、実際に体感してみるのが最も確実です。展示場や完成見学会でアイランドキッチンのように土間を備えたモデルハウスを見学し、生活動線や収納計画を具体的にイメージするとよいでしょう。

土間のある家の施工事例

下記では、実際に土間のある家を施工した4つの事例を紹介します。それぞれ違った特徴や用途があるため、ぜひ参考にしてみてください。

①スムーズな動線を考慮した土間

広めの玄関土間が印象的で、インテリアに馴染むよう調和を図っています。コンクリート仕上げの床と木製の壁パネルが落ち着いた雰囲気を演出し、玄関からリビングまでの動線がスムーズになるよう工夫されています。

土間動線がヒカる家

②開放感とモダンな雰囲気を両立させた土間

土間がリビングの一部と一体感を持つ構成で、高低差もミニマル に抑えられています。

大きな窓から自然光が差し込み、昼間は明るく開放的な空間に。経年美化を楽しめるブラックチェリーの床面がアクセントとなり、モダンなインテリアを引き立てています。

③癒やしを与えコミュニケーションのきっかけとなる土間

木とグレーが調和した土間空間が住む人に癒やしと落ち着きを与えます。

家の中に入らなくてもちょっと腰掛けて会話できるスペースが、コミュニケーションを活発にしてくれます。

木とグレーが調和した終の住処

アウトドアとインドアが融合した土間

綺麗な光が差し込む採光性に加え、現代のライフスタイルに合わせたデザインが特徴です。落ち着きの空間を提供するだけでなく、キッチンへの動線も意識した、機能性とスタイリッシュさが両立した土間です。

土間のある平屋のくらし

自由度が高くデザイン性にも富む土間のある家

土間のある家は、土足で利用できる気軽さや多目的に活用できる空間の自由度、独特のデザイン性などさまざまな利点を持ちます。

ただし、設計の段階でスペースや素材、断熱対策などを慎重に考えなければ、使い勝手が悪くなったり、冷暖房効率の低下を招いたりする可能性があります。 自分のライフスタイルや趣味を活かした設計を行えば、土間はより豊かな暮らしを演出してくれるでしょう。土間の設置を検討している方は、実際の施工事例を見ながら専門家と相談し、間取りや設備面を細かく詰めることが成功のカギです。

ファミリアでは、注文住宅やリフォームに関する豊富なノウハウを活かし、土間のある住まいづくりもサポートします。ぜひご相談いただき、家族の暮らしにぴったりな土間スペースを実現してみてください。

つくば市の注文住宅ならファミリア株式会社

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監修者

池田 恵子

ファミリア株式会社 取締役

略歴

  • アトリエファイ建築研究所
    (建設・現場監理に従事。)
  • 池田林業株式会社
    (設計・現場監理に従事。後に取締役に就任し現在に至る。)

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