注文住宅に吹き抜けを取り入れるメリット・デメリットとは

天井まで空間がつながる吹き抜けは、光や風を取り込み、家の中に開放感をもたらすデザインとして人気です。注文住宅を建てる際に「リビングを吹き抜けにしたい」と考える人も多いでしょう。しかし、上階との遮音性や冷暖房の効率、メンテナンスのしやすさなど、吹き抜けならではの注意点や後悔事例があることも事実です。

本記事では、注文住宅に吹き抜けを取り入れるメリットとデメリット、よくある後悔の原因や対処策、計画時に押さえておきたいポイントなどを詳しく解説します。

目次

吹き抜けとは

「吹き抜け」は、建物の一部を上下階にわたって壁や床で区切らず、縦方向に開放している空間を指します。1階と2階(場合によっては3階)をつなげることで、高い天井や広い壁面が生まれ、視覚的にも実際の空気の流れにおいてもオープンな雰囲気を醸成します。

特にリビングに吹き抜けを設けると、自然光が2階窓から入ってきて明るいLDKを実現できたり、上階と下階のコミュニケーションを取りやすくなるなどのメリットがあります。ただし、建物の構造や断熱性にも影響するため、設計段階での十分な検討が重要です。

注文住宅に吹き抜けを取り入れることのメリット

吹き抜けは
「おしゃれで開放的な空間を作りたい」
「家族のつながりを感じられる家にしたい」
といったニーズにマッチするレイアウトです。

ここでは、その具体的なメリットを4つ紹介します。

メリット①開放感が生まれる

吹き抜け最大の魅力は、縦方向に広がる空間による「開放感」です。高い天井により圧迫感が軽減され、部屋の面積以上に広々と感じられます。

限られた敷地であっても、縦方向を活用することで伸びやかな空間を演出できるのがポイントです。

メリット②採光を確保できる

天井近くに窓を設置することで、上下階に自然光を取り込みやすくなります。南面に大きな吹き抜けを設ければ、午前から午後にかけて家の中が明るく、電気代の節約にも寄与する可能性があります。

日照条件の限られた狭小地でも、吹き抜けを作ることで採光を確保しやすくなるでしょう。

メリット③風通しが良くなる

高い位置に窓を設けると、空気の循環が促進され、夏場でも風を取り込みやすくなります。空気は暖かいほど上に上がるため、吹き抜けから上部の窓を開けると上昇した熱気が外に抜け、下方に涼しい空気が入る仕組みが作りやすいです。

メリット④家族とコミュニケーションが取りやすくなる

吹き抜けにより1階と2階の空間がつながるため、上階にいても下階の声が聞こえやすくなります。

キッチンやリビングで過ごす家族と、2階の子ども部屋で過ごす家族が、互いの存在を身近に感じられるのが魅力です。ただし、その分プライバシー確保が難しくなる場合もあるため、個室の間取りやドアの防音性などを考慮すると良いでしょう

注文住宅に吹き抜けを取り入れることのデメリット

吹き抜けには見逃せないデメリットや、対策を考えておかなければならない課題も存在します。

次に挙げる4つのデメリットを理解し、事前にプランに落とし込むことで後悔を避けやすくなります。

デメリット①構造次第で暑さや寒さを感じやすい

上下に空間が広がるため、冬は暖気が上階へ行きやすく、逆に夏は冷気が階下にとどまりやすいといった温度分布の偏りが生じることがあります。

しっかりと断熱性能を高めたり、空気循環を考慮した設計(シーリングファンや高性能エアコンの導入)を行わないと、冷暖房効率が悪くなるかもしれません。

デメリット②音やにおいが伝わりやすい

開放的な空間であるがゆえに、キッチンやリビングの音・においが上階まで届きやすいです。子ども部屋を2階に設置する場合、勉強や就寝の妨げにならないよう、防音対策や換気の工夫が必要となります。

デメリット③掃除が難しい

高い天井部分の照明や窓ガラス、ファンなどを掃除するのが容易ではありません。はしごや専用の掃除道具を用意する必要があり、さらに高所作業のリスクも伴います。将来的に掃除を外注する場合は、メンテナンス費用を見込んでおきましょう。

デメリット④転落の危険性がある

吹き抜け部分の2階手すりやバルコニーに相当する開口部からの転落リスクも考慮すべきです。

特に小さな子どもやペットがいる家庭では、安全柵やフェンスをしっかり設置し、隙間などもチェックする必要があります。

注文住宅で吹き抜けを作って後悔しないためには?

吹き抜けのデメリットを理解した上で、上手に対策を講じれば、理想的な空間を実現しつつ後悔を最小限に抑えられます。

ここでは、具体的なポイントを4つ挙げます。

窓の位置と種類を考慮する

採光や通風を確保しつつ、夏場の直射日光を過度に招かないようにするため、窓の位置や大きさを計画的に設定することが大切です。

また、高い位置の窓は掃除や開閉が難しいため、リモコンで操作できる電動窓やフィックス窓(はめ殺し窓)の選択肢も検討しましょう。

棟換気可能な屋根にする

屋根の最上部(棟)に換気機構を設けると、暖気や湿気が屋外へ逃げやすく、吹き抜け下部の冷暖房効率を高められます。特に夏の暑さ対策として有効で、上部の熱をスムーズに排出できるので室内の温度ムラが軽減されます。

エアコンの設置場所を考慮する

吹き抜けのあるリビングにエアコンを設置する場合、冷暖房の風が階下・階上どちらにも適切に届く位置を考慮する必要があります。サーキュレーターやファンを組み合わせることで、温度差が生じにくい空間づくりが可能です。

シーリングファンを設置する

吹き抜けにシーリングファンを取り付けると、室内の空気を強制的に循環させられます。冬は暖気を下に送り、夏は涼しい空気を行き渡らせるなど、季節に応じて回転方向や風量を変えると、温度ムラの解消に大きく貢献します。

吹き抜けのある注文住宅を建てる際の注意点

吹き抜けを取り入れる場合、構造的な問題やプラン全体のバランスも踏まえた設計が不可欠です。
最後に、注意点を2つ挙げます。

注意点①空間のバランスを検討する

吹き抜けが大きすぎると、生活スペース(床面積)が減る一方で空間だけが広がる形になり、暖房効率などが下がりやすいです。逆に小規模な吹き抜けでは、あまり開放感を得られない場合もあります。建築面積や家族構成を考慮し、適切な大きさを設計者と相談することが大切です。

注意点②実績豊富な工務店・ハウスメーカーに依頼する

吹き抜けは構造的にも難易度が高く、断熱や耐震のバランスを取るのが難しいです。過去に吹き抜けプランを多く手がけた実績を持つ工務店やハウスメーカーなら、トラブルのリスクを減らし、適切なアドバイスを得られる可能性が高いです。

注文住宅で吹き抜けを作る際の費用相場

吹き抜けを設けることで、天井高の確保や大きな窓、補強材などが必要になり、建築費用が増加する傾向があります。具体的な費用は設計や使用する材料次第ですが、一般的には100万円〜200万円程度の追加コストを覚悟しておくと良いでしょう。窓や照明、シーリングファンなどの設備も含めると更にプラスになる可能性があります。

吹き抜けの清掃費用の相場

高い位置の窓ガラスやファン、照明器具などの掃除・メンテナンスを外部に依頼する場合、2〜3万円程度の料金が発生することがあります。年1回程度の頻度で依頼している家庭もあり、ランニングコストとして計算しておくと安心です。

吹き抜けのある注文住宅の施工事例

吹き抜けを取り入れた注文住宅のデザインや間取りは実に多彩です。以下に、ファミリアが手がける実際の施工事例をいくつか紹介します。

①大きな窓が暮らしに開放感をもたらす吹き抜けの家

開放感あふれるリビング吹き抜けが特徴的な家族向け住まい。大きな窓を配置し、明るく風通しの良い空間を実現しました。

https://familia-grhttps://familia-group.co.jp/works/works-22oup.co.jp/works/works-22

②家族とのコミュニケーションが絶えない開放感を演出した吹き抜け

モダンな外観と連動するアイランド型キッチンと吹き抜けの組み合わせが見事。広々としたLDKが魅力です。

お家グランピングが叶う家

③採光を最大限に活かす”温かい”家

リビングの吹き抜け上部に大きな窓を設置し、採光を最大限活かす設計。開放感がありながらもプライバシーにも配慮された構造が魅力。

大きな吹き抜けのある家

④いつでも家族との繋がりを感じられる吹き抜け

階段周りに吹き抜けを設け、視覚的な広がりを与えつつ、家族間のコミュニケーションを取りやすくしています。

ウイテルイエ

⑤落ち着きと温かみをもたらす吹き抜け

吹き抜け部分にシーリングファンを組み合わせ、上下階の温度差を軽減。家族団らんの場所となるLDKを中心に快適な動線を構築。

PRIVATE VIEW HOUSE

⑥温かい光が差し込む採光性ばつぐんの住まい

階の廊下からリビング吹き抜けを見下ろせる構造で、家族同士の声が届きやすい設計。見た目にもおしゃれな空間づくりが魅力。

隣居styleの家

⑦光と風の差し込みが気持ちいい吹き抜け構造

大きな吹き抜けと吹き抜け越しのスケルトン階段が印象的。LDK全体を一体化させつつ、プライバシーにも配慮したレイアウトが特徴。

薪ストーブと暮らす平屋のような家

吹き抜けのメリット・デメリットを理解し施工を検討しよう

注文住宅に吹き抜けを取り入れると、開放感や採光・通風の良さを得られ、デザイン性も高まります。

しかし、冷暖房効率の低下や掃除の手間、音・においの拡散などのデメリットも認識しておく必要があります。家族構成やライフスタイル、費用面を総合的に考慮し、理想と現実のバランスを取った計画が重要です。

吹き抜けで後悔しないためには、窓位置やエアコンの配置を適切に設定し、断熱性能を高めたり、シーリングファンを活用したりするなどの対策をあらかじめ講じることが有効です。また、経験豊富な工務店・ハウスメーカーと連携し、実際の施工事例を参考にしながらプランを固めるのがおすすめです。

ファミリアでは、吹き抜けのある注文住宅の多彩な施工実績を活かし、お客様のライフスタイルに合ったプランを提案しています。つくば市を中心としたエリアで家づくりをご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。快適な住空間と開放的なデザインを両立させる家づくりを一緒に実現しましょう。

つくば市の注文住宅ならファミリア株式会社

カテゴリー: リビング パーマリンク

監修者

池田 恵子

ファミリア株式会社 取締役

略歴

  • アトリエファイ建築研究所
    (建設・現場監理に従事。)
  • 池田林業株式会社
    (設計・現場監理に従事。後に取締役に就任し現在に至る。)

資格