注文住宅を建てる際は、建築業者選び、土地探し、注文住宅の設計プラン、住宅ローン
内覧会、施工後のメンテナンスなど、それぞれの注意点を押さえて、後から後悔のない家づくりを行いましょう。また、業者選びをする際は、ハウスメーカー、工務店、設計事務所について、それぞれの特徴について把握しておきましょう。
本記事では、注文住宅を建てる際に押さえておきたい注意点と、建築業者の種類について解説します。
注文住宅の建て方
注文住宅で家を建てる際に、まず始めたいのが土地選びです。土地の種類については、すでに所有している土地、これから購入する土地、建築条件付きの土地、借地用の土地などがあり、予算や注文住宅の設計プランに合わせて選ぶことができます。
では、もう少し詳しく、それぞれの土地について選び方のポイントを確認していきましょう。
ケース①所有している土地に建てる
所有している土地を活用して家を建てる場合は、新たに土地探しをする手間が省けるので、家づくりの工程がシンプルになります。予算についても、土地代購入の頭金、仲介手数料、登記費用や印紙代、固定資産税などの費用が不要です。
参考として、「フラット35利用者調査の結果」によりますと、注文住宅の費用「3,717 万円」に対して、土地付き注文住宅の費用「4,694 万円」となっており、土地なしと土地ありでは、およそ「970万円」ほど初期費用が違ってきます。
所有地に家を建てる際は、新たに土地を購入して建てるよりも、資金面での負担が軽く余裕を持って家づくりができます。
ケース②土地を購入して建てる
一方、土地を購入して家を建てる場合は、頭金の準備が必要です。同じく「フラット35利用者調査の結果」のデータでは、土地付き注文住宅の頭金は「449.6万円」で、注文住宅の場合は、頭金「641.2万円」となっています。
一般的な頭金の平均額は、住宅価格の20%程度で算出できます。例えば「20,000万円」の注文住宅を建てる場合は、20%の「400万円」頭金が必要になるということです。
また、注文住宅の土地探しは、地域によっても条件が違ってきたり、首都圏や人気エリアになると、希望に合った条件の土地を見つけるには時間がかかり労力が必要です。したがって、ゆっくり希望通りの土地を探すためにも、新居に引っ越しする時期に合わせて、1年前くらいから余裕を持って土地探しをすると計画的に家づくりを進めることができます。
土地を新たに購入する際は、まとまった初期費用の準備と、土地探しの期間に余裕を持つことがポイントです。
関連記事:注文住宅の土地の探し方や注意すべきポイントをわかりやすく解説!
ケース③建築条件付きの土地を購入して建てる
土地探しをする際に、建築条件付きの土地を購入する方法があります。建築条件付き土地とは、土地を購入する条件として、決められた施工会社に注文住宅を依頼することです。
決められた施工会社というのは、土地の売主、または売主が指定した施工会社になります。また、土地購入から建築会社と請負契約を結ぶまでの期間は、およそ3か月程度で、その期間に家の間取りやデザインのプランを決める必要があります。
建築条件付きの土地のメリットは、一から土地を探すよりも費用が押さえられることや、
条件付きでも、ある程度自由に家づくりができることです。また、住宅を建てる前提で土地が整備されているため、不動産会社を通さずに土地を活用することができます。
デメリットとしては、はじめから施工会社が決まっているため、他の業者と見積りを比較できないことです。
もし、希望の条件や予算が合えば、建築条件付きの土地を活かして、理想の家づくりをすることも可能です。
ケース④借地に建てる
借地に家を建てる方法は、土地購入の初期費用を安くすることができます。ただし、初期費用は抑えられますが、施工後のランニングコストとして、土地の賃借料が必要になります。
借地権付きの土地を活用するメリットは、所有権を持つよりも安く家を建てられることです。土地の利用者は、所有者ではないので固定資産税や都市計画税がかかりません。
したがって、土地代に費用がかからない分、住宅の施工に費用をかけたり、施工後の維持管理費に回すこともできます。
また、借地に家を建てる際は、借地権の条件にそって土地を活用するようになります。
借地権で最も多い「一般定期借地権」の場合は、土地を50年以上借用できますが、契約終了後に土地を更地にして地主に返す必要があります。
土地探しでは、希望の土地が見つからない場合に、借地権付き土地を探すと、希望のエリアで見つかるケースもあります。
注文住宅を建てる場合の注意点
注文住宅を建てる際に必要な、業者選び、土地探し、注文住宅の設計プラン、住宅ローン 内覧会、施工後のメンテナンスなどについて注意点を確認しましょう。
家づくりは、一生の中で高価な買い物になるため、失敗のないように注意点を押さえておきましょう。
注意点①業者選びに時間をかけすぎない
注文住宅の業者を選ぶ際は、あまり時間をかけないことも大事です。家づくりの施工期間はおおよそ12か月前後で、それ以上長くかかるケースもあります。業者選びに時間をかけ過ぎてしまうと完成までにスタミナが続かないため、ほどよく決断することをおすすめします。一般的な土地探しにかける期間の目安は、4か月~1年程度です。
業者選びで悩まないためには、相談する前に間取りやデザインのプランを明確にしましょう。プランをはっきりさせることで、業者に希望条件を明確に伝えることができます。
また、家づくりのプランがまとまらない場合は、規格デザインが用意されているハウスメーカーに依頼するのも方法のひとつです。一方、一から全部、間取りやデザインにこだわりたい方は、フルオーダーの注文住宅ができる業者を選びましょう。設計にじっくり時間をかけたい方は、設計事務所に依頼することも可能です。
もし、明確なプランがまとまらないようであれば、予算を明確にして初期費用について検討しましょう。
注意点②土地を慎重に選ぶ
土地選びでは、建築基準法による建築制限や宅地造成等規制法について確認しましょう。
住宅を建てる際は、法令による土地の制限から希望通りに建築できないこともあります。
したがって、土地を探す前に建築業者を決めておくと、専門的なアドバイスを受けながら
土地探しができるようになります。
建築制限については、主に以下の内容を確認しておきましょう。
- ・用途地域:土地に建てられる建物の種類や規模
- ・建ぺい率:土地面積に対する建てられる建築物の面積
- ・日影規制:日影による中高層建築物の高さ制限
- ・宅地造成規制:がけ崩れ、土砂災害による災害防止のための規制
また、土地を探す際は、以下のポイントも押さえておきましょう。
- ・最寄駅、バス停からの距離
- ・学校、病院、銀行までのアクセス
- ・スーパー、商店街までの利便性
- ・日当たり、風通しなどに関わる周辺の障害物
- ・地震・台風・火災などの災害リスク
- ・家族のライフスタイルや将来像
注意点③耐震性や耐久性を確認する
地震に強い家づくりをするためには、「耐震等級」について確認しましょう。「耐震等級」とは、建物の耐震性を表す指標です。3段階の等級に分けて数値が大きいほど、耐震性能が高くなります。
- ・耐震等級1:震度6強~7程度に相当する地震が起きても倒壊・崩壊しない強度
- ・耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる強度
- ・耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の地震に耐えられる強度
また、建物の耐震性においては、①地震の揺れに耐える「耐震強度」、②地震の揺れを吸収する「制震構造」、③地震の揺れが伝わらない「免震構造」について特徴を知って、家づくりに活かしてください。
注意点④デザイン性にこだわりすぎない
注文住宅のプランを決める際は、デザイン性と機能性が両立することが重要です。はじめて家を作る場合は、希望のイメージやデザイン性にこだわって機能性がおろそかになりがちです。発注者は、設計プランに偏りが出ないように、経験が豊富な業者に相談しながら、バランスの良い住宅を計画しましょう。
注文住宅へのこだわりを抑える方法としては、こだわりに優先順位をつけて、予算とのバランスを考えて採用するかどうか判断することです。また、こだわっている内容が、生活するうえで本当に必要かつ実用性があることなのか、検討することも大切です。
注意点⑤仕上げ材のサンプルを確認する
建築の仕上げ材は、内装や外装に使う建材で、家の最終工程に使用します。
仕上げ材の選び方によって、家の完成度が左右されるため、しっかりサンプルからチェックして、希望通りのイメージに仕上げていきましょう。
また。仕上げ材は、見た目のイメージだけではなく、耐久性やメンテナンスのしやすさも
考慮して、コストについてもしっかり検討しましょう。
サンプル材を確認する際は、完成形をイメージできるように、ある程度大きいサイズでチェックして、外装材は、日光に当たったときのカラーを見てから決めましょう。
注意点⑥収納や動線などを確認する
住宅に対して収納スペースは、およそ10%〜15%程度が適切です。収納スペースがしっかり配置できると、家具を後から設置しなくても良いので、スッキリとした部屋づくりがデザインできます。また、家具を運ぶ必要がなくなるので引っ越しも楽になります。
収納スペースの場所や大きさについては、実際に収納するアイテムをリストにして、適したサイズや場所を決めるようにしましょう。
また、間取りを決める際に重要なのは家の動線です。「家事動線」「生活動線」「来客動線」について考えられた間取りであると、生活が快適になります。
家事労働が効率的にできるような間取りと子育てしやすい動線で、ライフスタイルに合った日常の動線、家の人の動線とは異なる来客動線についても考慮する必要があります。
さらに、「家事動線」「生活動線」「来客動線」が最適に活かされるように、窓からの採光や風通しの良さについても確認しましょう。
注意点⑦住宅ローンの内容をすり合わせる
住宅ローンの資金計画は、無理のない設定が必要です。できる範囲で返済できるように予算を考えてスケジュールを立てましょう。
住宅ローンを組む場合は、収入が安定していることや、ある程度貯金があるところからスタートすると安心です。
また、家を維持管理するためには、住宅ローンの返済以外に、家のメンテナンス費用、固定資産税や都市計画税の支払いなどが必要になるため、これらの支出についても対応できるように計画しましょう。さらに、金利の変動による返済額の増減についても合わせて検討しましょう。
関連記事:家を建てるタイミングはいつがベスト?データとライフイベントを指標に解説します
注意点⑧内覧会で不具合を確認する
住宅完成後、引っ越し前に行う内覧会では、入居後にトラブルが起きないように、不具合を確認することが大事です。入居前であれば、不具合に建設業者が無償で対応してくれます。
内覧会では、設計図と完成した住宅が同じであるかを確認して、室内、屋根裏、外回り、電気配線、水回りなど、時間をかけてしっかりチェックしましょう。
また、内覧会では、一人ではなく複数人で対応した方が、視野が広がって不具合を見つけやすくなります。何かおかしな箇所があれば、積極的に提案して疑問を解決しましょう。後から後悔しないように遠慮せずに相談することをおすすめします。
注意点⑨メンテナンスの計画を決める
注文住宅を建てる際は、入居後のメンテナンスについて計画しておくことが必要です。
注文住宅は、築年数によって劣化を伴い、特に自然にさらされている外壁や屋根のメンテナンスは、定期的に行う必要があります。
また、キッチンや浴室などの水回りの設備についても、各設備の寿命に合わせて修理や交換が必要です。住宅の寿命よりも長く活用できるように、定期的にメンテナンスを行うことが大事です。
住宅の寿命については、、木造住宅約30年、鉄骨住宅約30年〜50年、鉄筋コンクリート住宅約40年〜90年くらいです。
参考として、メンテナンス費用の相場は、およそ年間10万~50万円程度になります。ただし、家の築年数や立地条件、定期点検の有無などによって費用は異なります。
また、リフォームが必要になる場合は、リフォーム費用についても準備が必要になります。
注文住宅を建築する際は、施工後のメンテナンスについても早めに準備しておくことをおすすめします。
注文住宅の建築を依頼できる業者
注文住宅の建築は、信頼できる業者を選ぶことで、後悔しない家づくりが実現できます。
では、どんな業者に依頼したらよいのか、「ハウスメーカー」「工務店」「設計事務所」について、それぞれ解説します。
ハウスメーカー
ハウスメーカーとは、建築資材を規格化することで住宅の品質を一定に保ち、短い工期で
量産型の住宅を設計・施工・販売する会社です。「積水ハウス」「セキスイハイム」「大和ハウス工業」「住友林業」「旭化成」などが、代表的なハウスメーカーです。
ハウスメーカーに依頼するメリットは、大手ハウスメーカーの場合、経営が安定しているため、施工後のアフターフォローやメンテナンス対応も行き届いて安心です。
また、全国に店舗数が多いので、希望の地域でモデルハウスを参考にしながら家づくりを検討することができます。さらに、最新のデザインを採用した住宅で、住宅性能の高い家づくりが実現できます。
一方、デメリットについては、ハウスメーカーの提案する土地は、平均相場より坪単価が高くなる傾向で初期費用が高めになります。また、フルオーダーではなく規格化された住宅であるため、細かいこだわりのある設計プランは難しくなり、プランの自由度は制限されます。
工務店
工務店とは、建築工事を行う職人の手配と管理を請け負う会社で、設計、工事、アフターメンテナンスまで対応しています。工務店の種類は、地域密着型、フランチャイズの加盟店、中堅ビルダーがあります。
ハウスメーカーと比較すると、工務店の方がコストを安く抑えられる傾向です。また、施工期間は工務店の方が長くなりますが、設計プランは、工務店の方が自由度が高くなります。
また、地域密着型の工務店であれば、施工後のアフターサポートが手厚く、顧客対応がきめ細やかで安心です。
地域に根差した工務店の場合、その地域の特徴を考慮して、家づくりのプランを提案してもらうことができます。特に積雪地域や塩害地域など、特殊な地域には地域密着型の工務店が信頼できるでしょう。
一方、デメリットとしては、ハウスメーカーのような規格型の建築ではないため、職人の腕次第で品質にばらつきが生じるケースもあります。したがって、工務店を選ぶ前に、業者の実績や職人の経験値について確認しましょう。
工務店はモデルハウスの展示をしていないところもありますので、住宅の完成形をイメージするためには、より具体的な打ち合わせが必要になります。さらに、工務店は、ハウスメーカーのような規格品ではないため、オリジナルな設計にした場合は、さらにメンテナンス費用が高くなる可能性もあります。
施工後の保証については、小規模の工務店の場合は倒産リスクが高いため、「住宅完全保証制度」に加入しているか確認することをおすすめします。
設計事務所
注文住宅は、設計については設計事務所に依頼し、施工は施工会社に別途、依頼することもできます。ハウスメーカーや工務店は、設計と施工をトータルして行うことが多くなりますが、設計事務所は設計のみの依頼になります。
設計事務所に依頼するメリットは、規格化されたハウスメーカーとは異なり、住宅の間取り、使用する建材、設備機器の選び方など、すべて発注者の希望に合わせて自由に設計することができます。また、設計のプロと共に家づくりを行うので、耐久性と快適性を兼ねた家づくりができて、欠陥住宅のリスクも低くなります。
デメリットとしては、設計の工程では工事費用が算出されず、施工に入った段階で見積りがわかる流れとなるため、予算が立てにくい面があります。また、ハウスメーカーや工務店に依頼するよりも、設計に時間を要するため、住宅が完成するまで期間が長くかかります。
設計事務所を探す方法については、インターネットで信頼性のある所を探すのが難しく、
時間をかけてじっくり選定する必要があります。
関連記事:注文住宅の業者の選び方!ハウスメーカーや工務店の違いは?
注文住宅の注意点を押さえて業者選びから始めましょう
注文住宅は、希望のプランに対応して実現してくれる業者を選びましょう。設計や間取りの自由度にこだわりたい場合は、工務店や設計事務所を利用し、ある程度、おまかせで住宅を設計したい場合は、ハウスメーカーを利用すると良いでしょう。
注文住宅で建築する際は、業者選びの他に、土地探し、注文住宅のプラン、住宅ローン、内覧会、施工後のメンテナンスなどについて注意点を押さえて、理想の家づくりを目指しましょう。特に土地探しは、家づくりの土台となる場所となりますので、専門のプロに相談しながら、後から後悔しないように注文住宅と相性の良い土地を選びましょう。
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