家を見る時、最初に目に入るのは外観です。中でも外壁は大きな面積を占めるので、目に入りやすいです。
この記事では、外壁にはどんな種類があるのか、どのように外壁を選んだらいいのかを解説します。これから注文住宅を建てる方は必見です。
注文住宅の外壁の重要性
内装や外壁など、いろいろなものを自由に選べるのが注文住宅のメリットのひとつです。中でも外壁は、意外に重要な役割を果たしています。
外観のイメージとなる
外壁は面積が大きい分、外観のイメージに直結しやすいです。白やクリーム色などなら明るく清潔感のある印象に、黒やグレーなら落ち着いた印象になります。
また、素材によっても、イメージは異なります。土壁ならナチュラルな印象に、レンガ風ならカントリー調に、サイディングならシャープでスタイリッシュなイメージに、コンクリート打ちっぱなしであれば都会的な印象になります。
住まいを守る
外壁には、住まいを守るという役割もあります。外壁がなければ、柱や土台といった家の構造部分が雨風、強い日差し、紫外線に晒され、あっという間に老朽化してしまいます。
耐久性の高い外壁素材を選ぶことで、長い間住まいを雨漏りや紫外線による劣化などのトラブルから守ってくれます。
注文住宅の外壁の種類
外壁にはどのような種類があるのでしょうか。ここでは代表的なものを6種類ご紹介します。
タイル・レンガ
まずご紹介するのは、タイル・レンガです。
タイルは、粘土または無機質の原料を成形して、高温で焼き固めた板状の建材です。無機質素材でできているため、サイディング外壁やコンクリート外壁などに比べると耐久性・耐候性に優れており、外壁に適した素材です。強度があるので傷がつきにくく、色あせもしにくいので、美観を保ちやすいです。また、吸水率が低く雨から建物を守ることができます。耐震性についても、適切な施工がしてあれば、地震で剥がれる心配はまずありません。
また、タイル外壁は耐久性が高く、汚れなどに強いため、劣化が起きにくい外壁材です。基本的に塗装メンテナンスは必要なく、主なメンテナンスは、年に1回程度の高圧洗浄機による外壁洗浄、10年に1回程度の付帯部や目地のチェックです。定期的に塗装メンテナンスが必要な外壁材と比較するとメンテナンスコストは抑えられます。
一方、初期費用がかかるのがデメリットです。使うタイルの種類や工法、住宅環境によっても異なりますが、一般的なサイディング外壁と比べると、2倍ほどの初期費用がかかります。
レンガは、西欧風の独特の雰囲気を出すことができますが、本物のレンガを使うとかなり費用がかかる上に、蓄熱性が非常に高いため、日本の夏には不向きです。また、適切にレンガを扱うことができる施工者があまりいないという問題があります。そこでレンガを家の外壁に使いたい場合に使われるのが、レンガ調サイディングです。
レンガ調サイディングを採用するメリットは、以下の4つです。
- ・品質が安定している
- ・さまざまなデザインから選ぶことができる
- ・扱いやすく、施工できる業者も多くいる
- ・本物のレンガに比べると初期コストを低く抑えることができる
サイディングなので、基本的なメンテナンスの仕方は一般のサイディングと変わりません。外壁をレンガにしたい場合はレンガ調サイディングも検討してはいかがでしょうか。
ガルバリウム
ガルバリウムは、金属系サイディングの一種です。そのスタイリッシュな外観から、外壁としても人気が上がっています。
ガルバリウムはアルミニウム55%、亜鉛43.4%、ケイ素(シリコン)1.6%の比率でできたメッキで加工されているため、金属系であるにもかかわらず錆びにくく耐久性が高いという特徴を持ちます。また、軽量であるため、建物にかける負担も小さく、外壁にはうってつけです。
「メンテナンスフリー」と言われることもあるガルバリウムですが、実際にはメンテナンスは必要です。チョーキングという表面を触った時に白い粉がつく現象が起きた時、サビが発生した時、苔が発生した時などは塗膜の塗り直しのタイミングです。
また、1年に1度くらいの頻度でやさしい水圧で水をかけて汚れを洗い流すこともメンテナンスになります。このとき、あくまでも弱い水圧を心がけましょう。高圧洗浄機などを使うと、かえってダメージを加えてしまいます。
他の外壁資材と比較すると、初期費用が高めではありますが、耐久性が高く、メンテナンスコストがほとんどかからず、自分でも基本的なメンテナンスはできる点は評価できます。
モルタル
モルタル下地の外壁は、セメントと砂と水を混ぜ合わせることで作られています。1990年以前には戸建ての外壁としてよく使われていましたが、最近ではあまり見かけなくなっています。
モルタル外壁のメリットは、サイディングのように継ぎ目がないため、コーキングのメンテナンスが不要である点です。一方、ひび割れが起きやすかったり、セメントが主原料のため耐水性が弱かったり、という点がデメリットとなります。モルタル自体の耐水性が弱い上に、年月が経つと表面の防水加工も弱くなってくるため、さまざまな劣化症状が出てきます。定期的にメンテナンスが必要となります。
塗り壁
塗り壁とは、モルタルを下地として塗装をしたり模様付けしたりすることをいいます。土壁、漆喰、ジョリパットなどが一般的です。
意匠性が高い、耐火性に優れるなどのメリットもありますが、塗るのに技術が必要、工期が長くなる、価格が高いといったデメリットもあります。また、汚れや変色、ひび割れなどといった劣化が目立ちやすいので、きちんとメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスは基本的に塗り直しとなることから、工期が長くなったり、費用がかさんだりします。
羽目板(板張り)
羽目板は、壁や天井に板を連続して張る手法です。日本特有の気候に適した調湿性・保温性に長けた羽目板は、昔から日本の住宅に多く取り入れられてきました。
外壁を羽目板にした場合、きちんとメンテナンスを行えば、100年は使い続けられるとされています。そのほかの建材は長くても40年くらいなので、非常に長持ちする素材であることがわかります。メンテナンスは、3年から5年に1回のペースで塗装や防腐剤の処理などを行います。
サイディング
サイディングは、現在一番多く使われている外壁素材です。工事が簡単で、工期に時間がかからず、さまざまな種類の中から選ぶことができるなど、メリットは多くあります。「サイディング」とは英語で外壁という意味です。
サイディングには、材質によって以下の4つのタイプがあります。
- ・窯業系サイディング
- ・金属系サイディング
- ・木質系サイディング
- ・樹脂系サイディング
窯業系サイディングは、セメント質原料とパルプや木繊維といった繊維質原料を成型し、養生・硬化させて塗装をした外壁材です。高温・高圧の「窯」で硬化させることから「窯業系サイディング」と呼ばれています。ボードを貼る作業になるため工期が短く済み、メンテナンスが比較的容易であることも、多くの場所で外壁として採用されている理由です。
金属系サイディングは、ガルバリウム鋼鈑などの金属を成型したものです。表面材と裏面材で断熱材でもある芯材を挟み、三層で一体となった構造になっています。モルタル等と比べると非常に軽く、サビにも強いです。
木質系サイディングは木材を使ったサイディングです。天然木は水に弱いため、最近では木目模様の窯業系サイディングで代用することが多いです。
樹脂系サイディングは、北米を中心に普及しているサイディングです。プラスチックの一種である塩化ビニル樹脂を板状に加工したもので、錆びや腐食の心配もなく、メンテナンスが容易などのメリットがあります。
種類によっても異なりますが、7〜10年程度でメンテナンスが必要となります。
関連記事:おしゃれでメリットもたくさん!外壁タイルのかわいいお家を建てませんか?
注文住宅の外壁を決める場合のポイント
では、注文住宅の外壁を決める場合はどのような点を重視すればいいのでしょうか。
関連記事:注文住宅で失敗?失敗例から学ぶ!後悔しない対策を徹底解説
ポイント①コンセプトを決める
まずは家全体のコンセプトを決めることです。カントリー系でいくのか、スタイリッシュな大人路線でいくのか、それによって家のイメージに合う外壁も異なります。
ポイント②慎重に色を選ぶ
外壁の色は、慎重に選びましょう。小さな色見本と、大きな外壁全体に塗った時では受けるイメージが異なる場合があります。家全体のイメージ図を作成してもらうなどして、外壁全体に塗った場合のイメージを掴みましょう。
また、屋根やサッシなどの色とのバランスも考えましょう。
お住まいの地域によっては景観条例が施行されていて、色や柄付けが制限されているところもあります。ホームページ等で調べられるので、事前に確認しておきましょう。
ポイント③機能性も考慮する
外壁の種類によって、機能性に違いがあります。具体的には断熱性や耐震性、耐火性、防水性、防食性・防音性などです。地域の気候の特性によっても、向いている外壁の種類が異なります。
生活環境に合わせて外壁を選ぶことで、メンテナンスコストの削減にもつながります。
ポイント④予算に合わせる
予算に合わせることも重要です。外壁にお金をかけすぎたばかりに、内装でいろいろと譲歩することになってしまっては本末転倒です。
コンセプトに合った外壁で素敵な注文住宅を
ここまで、外壁の重要性や外壁の種類についてお伝えしてきました。
外壁は家のイメージを左右する大事なものであり、生活する空間も大事です。バランスよく予算配分できる外壁を選びましょう。
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