注文住宅の外壁の種類と決める際のポイントを徹底解説

外壁は、その家の第一印象を決定づける「顔」であり、ご家族の個性やセンスを表現するための、最も大きな要素です。素材の質感や、色合い、デザインの組み合わせは無限にあり、その選択一つで、家の佇まいは大きく変わります。

しかし同時に、外壁は、常に雨風や紫外線にさらされ、大切な家族と住まいを、過酷な自然環境から守り続けるという、極めて重要な役割も担っています。

「デザインも大事だけど、耐久性やメンテナンスのことも気になる…」 「たくさんの種類があるけど、それぞれの特徴がよく分からない」 「我が家のイメージに合って、かつ性能の良い外壁材はどれだろう?」

この記事では、そんな外壁選びに関する皆様の疑問や不安を解消するために、家づくりのプロの視点から、現在主流となっている外壁材の種類とその特徴、そして後悔しないための選び方のポイントを、分かりやすく徹底的に解説していきます。

注文住宅の外壁の役割

外壁選びを始める前に、まず、外壁が持つ2つの重要な役割について、理解を深めておきましょう。

耐久性

外壁の最も基本的な、そして最も重要な役割は、建物を外部の厳しい環境から保護することです。 夏の強烈な日差し(紫外線)や、台風などの激しい風雨、冬の凍えるような寒さや積雪。外壁は、こうした過酷な自然現象から、家の構造躯体を守り、室内の快適な環境を維持するための、第一の「鎧」なのです。 この保護機能が失われると、雨水が壁の内部に侵入して構造体を腐らせたり、断熱性能が低下したりと、建物の寿命そのものを縮める原因となります。そのため、外壁材を選ぶ際には、その「耐久性」「耐候性」「防水性」「耐火性」といった、機能的な側面を、まず第一に考慮する必要があります。

デザイン性

そしてもう一つ、外壁が持つ重要な役割が、家の「顔」としてのデザイン性です。 外壁の色や素材、形状の組み合わせによって、家の外観イメージは、モダンにも、ナチュラルにも、あるいは重厚にも、自由自在に変化します。ご家族が「こんな家に住みたい」と描く理想のイメージを、最も大きく表現できる部分が、この外壁です。

また、外壁は、常に街ゆく人々の目に触れる部分でもあります。周囲の景観と調和した、美しい外観を創り出すことは、その街並みへの配慮であり、社会的な資産としての価値を高めることにも繋がります。

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注文住宅の外壁の種類

では、現在、日本の注文住宅で主に使用されている外壁材には、どのような種類があるのでしょうか。それぞれの特徴と、メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

窯業系サイディング

セメントに、繊維質の原料を混ぜ合わせて、板状に加工した外壁材です。現在の日本の住宅で、最も広く普及しており、全体の7割以上のシェアを誇ります。 工場で生産されるため品質が安定しており、レンガ調や木目調、タイル調といった、デザインやカラーバリエーションが非常に豊富なのが、最大の魅力です。耐火性や耐震性にも優れています。

ただし、素材自体には防水性がないため、表面の塗装による防水機能が失われると、水を吸って劣化しやすくなります。そのため、10年~15年周期での塗装メンテナンスと、ボードの継ぎ目を埋めるシーリング材の補修が不可欠です。

金属系サイディング

ガルバリウム鋼板や、アルミニウム、ステンレスといった金属の板に、断熱材を裏打ちした外壁材です。非常に軽量であるため、建物への負担が少なく、耐震性が高いのが特徴です。

シャープでモダンなデザインは、現代的な住宅によくマッチします。

断熱性にも優れており、既存の外壁の上から重ねて張る「カバー工法」によるリフォームにも適しています。ただし、硬いものが当たるとへこみやすく、傷がつくとそこから錆が発生する可能性があるため、注意が必要です。

木質系サイディング

天然の木材を、板状に加工して作られた外壁材です。無垢材ならではの、温かみのある、ナチュラルな風合いが最大の魅力で、経年によって色合いが変化し、味わいが増していくのも特徴です。

しかし、天然素材であるため、水分を吸収しやすく、こまめなメンテナンスを怠ると、腐食や変形が起こりやすいというデメリットがあります。美観と耐久性を維持するためには、3年~5年周期での保護塗装が必要となり、維持管理コストは他の外壁材に比べて高くなる傾向があります。

樹脂系サイディング

塩化ビニル樹脂などを主原料とした、プラスチック製の外壁材です。非常に軽量で、素材自体に色が練りこまれているため、塗装メンテナンスが基本的に不要という、大きなメリットがあります。

塩害や凍害にも強く、耐久性・耐候性に非常に優れています。 ただし、日本ではまだ普及率が低く、製品の種類やデザインのバリエーションが限られる点や、施工できる業者が少ない点が、デメリットといえるでしょう。

ALC

「軽量気泡コンクリート」とも呼ばれる、コンクリートの一種です。内部に無数の気泡を含んでいるため、コンクリートでありながら非常に軽量で、断熱性、遮音性、耐火性に極めて優れているのが特徴です。主に、厚みのあるパネル状で使われるため、「ALCパネル」と呼ばれます。 耐久性も非常に高いですが、素材自体は水を吸いやすいため、窯業系サイディングと同様に、表面の塗装と、目地のシーリングによる防水メンテナンスが、その性能を維持する上で絶対に不可欠です。

モルタル

セメントと砂、水を練り合わせた素材を、職人が現場で、コテを使って塗りつけて仕上げる、伝統的な「湿式工法」の外壁です。サイディングのように継ぎ目がない、シームレスで重厚感のある、温かみのある仕上がりが魅力です。

コテの動かし方や、仕上げのパターンによって、職人の手仕事ならではの、多彩な表情を創り出すことができます。 ただし、乾燥収縮によって、ひび割れ(クラック)が発生しやすいという弱点があり、防水性を維持するためには、定期的な塗装メンテナンスが必要です。

漆喰

消石灰を主原料とした、日本の伝統的な塗り壁材です。調湿性に非常に優れており、日本の気候風土に適しています。また、アルカリ性であるため、カビが発生しにくいという特徴もあります。滑らかで美しい、独特の白い壁面は、和風建築だけでなく、南欧風の住宅などにも用いられ、上品でクリーンな印象を与えます。

タイル

粘土などを焼き固めて作られたタイルを、一枚一枚貼り付けて仕上げる外壁です。焼き物ならではの、重厚感と、いつまでも色褪せることのない高級感が最大の魅力です。傷や汚れにも非常に強く、塗装メンテナンスが基本的に不要という、圧倒的な耐久性を誇ります。

ただし、初期費用が他の外壁材に比べて、群を抜いて高価であることや、地震の揺れなどで剥離・落下するリスクがあること、そして目地のメンテナンスが必要になる点がデメリットとして挙げられます。

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レンガ

タイルと同様に、粘土を焼き固めて作られますが、タイルが「板状」であるのに対し、レンガは「塊」である点が異なります。ヨーロッパの歴史的な街並みを思わせる、温かみと重厚感のある外観は、流行に左右されない、普遍的な魅力を持っています。

耐久性・耐火性にも優れ、メンテナンスフリーに近い性能を持ちますが、タイル以上に費用が高額で、重量もあるため、基礎工事にもコストがかかる、最高級の外壁材の一つです。

注文住宅の外壁を選ぶ際のポイント

数ある外壁材の中から、後悔のない選択をするためには、どのような視点で考えれば良いのでしょうか。4つの重要なポイントを解説します。

ポイント①外壁を決める前に注文住宅のテイストを決める

まず、外壁材という素材を選ぶ前に、ご家族が目指す家の全体像、すなわちどのような「テイスト」の家にしたいのかを、明確にすることが何よりも重要です。

「シンプルでモダンな家」
「北欧風の、ナチュラルで温かみのある家」
「南仏プロヴァンスのような、可愛らしい家」
など、家全体のコンセプトを最初に決めることで、それにふさわしい外壁材の種類や色、デザインが、自ずと絞られてきます。この軸がブレてしまうと、ちぐはぐで、まとまりのない外観になってしまいます。

ポイント②外壁の色は3色までにまとめる

家の外観をおしゃれに、そして洗練された印象に仕上げるための、最も基本的な色のルールは、使用する色を3色以内にまとめることです。

  • ベースカラー(約70%): 外壁の大部分を占める基本の色。
  • アソートカラー(約25%): バルコニー部分や、1階と2階で色を分ける場合などに使う、ベースカラーと相性の良い色。
  • アクセントカラー(約5%): 玄関ドアや、窓枠などで使う、全体を引き締める「差し色」。

この色の比率を意識し、色数を抑えることで、ごちゃごちゃせず、統一感のある、飽きのこない美しい外観を創り出すことができます。

ポイント③窓やドアなどとの調和を考える

外壁の色や素材を選ぶ際には、単体で考えるのではなく、屋根の色、玄関ドアの色やデザイン、そして窓サッシの色といった、他のパーツとの調和を、常に意識することが大切です。

例えば、モダンな黒いサッシを選んだのに、外壁が可愛らしいパステルカラーでは、ちぐはぐな印象になってしまいます。外壁材のサンプルと、ドアやサッシのサンプルを実際に並べて、全体の色のバランスを確認する作業が、統一感のある美しい家づくりには不可欠です。

ポイント④汚れや日焼けを考慮する

外壁は、常に汚れや、紫外線の脅威にさらされています。新築時の美しさを、いかに長く保てるか、という視点も、外壁選びの重要なポイントです。 一般的に、真っ白や、真っ黒といった色は、雨だれや砂埃といった汚れが目立ちやすい傾向にあります。

逆に、グレーやベージュ、アイボリーといった中間色は、汚れが目立ちにくく、メンテナンス性に優れています。 また、赤や黄色といった、鮮やかな色は、紫外線の影響で色褪せしやすいという特性もあります。ご自宅の周辺環境(交通量が多い、緑が近いなど)や、日当たりの強さなども考慮して、色を選ぶのが賢明です。

外壁は家の顔となり暮らしを守る大事な物

今回は、注文住宅の「顔」となる、外壁の種類と、後悔しないための選び方のポイントについて、詳しく解説しました。

外壁選びは、デザイン、耐久性、そしてメンテナンス性という、3つの要素のバランスを、ご家族の価値観と、予算の中で、いかに最適化していくか、という、非常に奥深いプロセスです。

この記事でお伝えしたように、それぞれの外壁材には、一長一短があり、「これが絶対に一番良い」という、唯一の正解は存在しません。 大切なのは、それぞれの素材が持つ特性を正しく理解し、ご家族が、これから始まる新しい暮らしの中で、何を最も大切にしたいのか、その優先順位を明確にすることです。

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監修者

池田 恵子

ファミリア株式会社 取締役

略歴

  • アトリエファイ建築研究所
    (建設・現場監理に従事。)
  • 池田林業株式会社
    (設計・現場監理に従事。後に取締役に就任し現在に至る。)

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