
「いつかはマイホームを」と考えたとき、建てたい家をイメージするのと同じくらい大切なのが「土地選び」です。
特に注文住宅では、家づくりの自由度が高いため、土地の形状や周辺環境、法的な制限などがプランニングに大きく影響します。土地が決まらないと、理想の家の構想を具現化できずに時間ばかりが過ぎてしまうケースも珍しくありません。
本記事では、注文住宅を建てるうえで押さえておきたい土地探しのポイントを詳しく紹介します。工務店やハウスメーカー、不動産業者との連携の仕方や、現地で確認しておくべき項目、最終的に土地が見つからない場合の対処法など、具体的な手順や注意点に触れながら解説していきます。
注文住宅の土地探しの方法
注文住宅の土地探しと聞くと、自分でひたすらネットや情報誌を見て探すイメージがあるかもしれません。しかし、効率よく良い土地を見つけるためには、プロの力を借りることが有効です。
ここでは、工務店・ハウスメーカー、不動産業者、インターネットという3つの主要なアプローチを紹介します。
工務店やハウスメーカーに相談する
家づくりを依頼したい工務店やハウスメーカーが決まっている場合、土地探しの段階から相談するとスムーズです。なぜなら、業者によっては地元不動産とのパイプがあり、一般公開されていない土地情報を持っていることがあるためです。
また、工務店やハウスメーカーは、建築プランや施工ノウハウを踏まえて土地の形状・広さを判断してくれるので、後から「希望するプランが土地の制約で通らない」といった事態を回避しやすくなります。
不動産業者に相談する
土地探しを得意とする不動産業者に依頼するのも一般的な方法です。地域の事情や相場に詳しいエージェントがいる場合、予算や希望条件を伝えると、候補地を短期間でいくつか提案してくれます。
ただし、土地情報は業者によって得意分野や仕入ルートが異なることもあります。大手不動産チェーンだけでなく、地元密着型の不動産会社にも声をかけてみると、思わぬ掘り出し物の土地が見つかることもあります。
インターネットで調べる
近年は、土地情報をオンラインで検索できる不動産ポータルサイトや、地図上で物件を探すシステムが充実しています。自宅にいながら価格や所在地、土地面積などを一度に比較できる点がメリットです。 インターネットであれば新着物件のチェックも頻繁に行えるため、土地の出物をいち早く把握しやすいですが、やはり最終的には現地見学や担当者とのコミュニケーションが必要になる点は留意しましょう。
注文住宅の土地を探す際の手順
どこに依頼するかを決めたら、次は具体的な手順を踏んで土地を探します。資金計画や土地調査など、順を追って進めることで、後々のトラブルや予想外の出費を避けられるでしょう。
資金計画を立てる
最初にやるべきは予算の把握です。注文住宅は土地代だけでなく、建築費、外構費、諸費用なども必要になります。
土地を探す前に、以下のポイントを考慮しながら資金計画を立てましょう。
- ・自己資金:手持ちの頭金、貯蓄など
- ・住宅ローン:借入可能金額や金利、返済プラン
- ・諸費用:仲介手数料や登記費用などの初期費用
土地代に予算をかけすぎると、建物のグレードを下げざるを得ないというケースもあるため、建物・外構予算と土地予算のバランスが重要です。
条件に優先順位をつける
土地を選ぶにあたって、「駅からの距離」「通勤・通学の利便性」「学区」「日当たり」「敷地面積」など条件が多岐にわたり、すべてを満たす土地を見つけるのは困難です。 そこで、希望条件に優先順位をつけましょう。
「どうしても譲れない条件」
「多少妥協してもよい条件」
を明確にすることで、土地探しがスムーズに進みやすくなります。
土地探しを始める
資金計画と条件の優先順位を固めたら、いよいよ土地探しを本格化します。工務店・ハウスメーカー、不動産業者、インターネットなどをフル活用し、興味のある候補地をいくつかピックアップします。
候補地が見つかったら、必ず現地見学を行って周辺環境や道路状況などをチェックします。写真や地図だけではわからない要素が多いため、複数回の見学が推奨されます。
土地を調査する
気になる土地が見つかったら、法規制や地盤の状態、インフラ整備状況などを詳細に調べます。都市計画法や建築基準法の制限、用途地域、建ぺい率・容積率などを確認し、希望する建物が建てられるかどうかを判断します。
地盤調査は専門業者が行うケースも多いですが、購入前に基礎的なデータを得ることで、不測の地盤改良費を把握することができます。
契約を結ぶ
調査結果を踏まえて土地の購入を決断したら、不動産売買契約を締結します。契約時には手付金を支払い、重要事項説明書や契約書をしっかり読んで内容を確認します。 不動産仲介業者の仲介手数料や各種手続き費用などを含め、資金計画に影響が出ないよう事前に明確にしておくことが大切です。
融資を受ける
土地契約後、建物の建築費用も含めた住宅ローンを利用する場合は、金融機関から融資を受けます。
通常、土地決済と建物工事契約が同時進行することが多く、どのタイミングで融資を実行するかを金融機関と調整しながら進めます。
注文住宅の土地探しにおける注意点
土地探しは長期的な計画となることが多く、検討期間が延びると他の買い手に取られてしまうリスクや、相場が変動してしまうリスクもあります。
以下の注意点を心に留めて進めると、スムーズに進行しやすくなります。
注意点①現地で確認する必要がある
土地の広告や図面だけではわからない情報が多いため、現地見学は必ず行いましょう。道路の幅、建物の規模、隣接している建物との距離感、騒音や日当たりなどは現地でしか把握しきれません。
また、夜間や休日など、時間帯を変えて訪問して雰囲気を確認すると、交通量や騒音などの違いを知ることができます。
注意点②住宅造成区域に注意する
造成地の場合、以前は畑や山林だった場所を土を盛って宅地にしているケースがあります。そういった土地は地盤が緩い可能性があるため、擁壁や排水の状況をしっかり確認する必要があります。また、造成工事が完了していない未分譲地などでは、インフラが整っていない場合もあり、コスト負担が大きくなることがあります。
注意点③早めに決断する
「良い土地」と言われる物件は、少し迷っているうちに他の購入希望者に先を越されることが多いです。
最終的な判断は慎重に行うべきですが、条件が合致するものが見つかったら早めに仮押さえや申し込みをして、詳細調査に移ることが推奨されます。
現地で土地をチェックする際の項目
土地を実際に見学する場合、どんな項目をチェックすればよいのかを整理しておきましょう。
大きく分けて以下の8つに注目すると漏れが少なくなります。
周辺環境
商業施設や医療機関、学校、公共交通機関までの距離など、日常生活に必要な施設の位置を確認します。将来的な生活スタイルをイメージしながら、本当に便利で快適に暮らせるかを考えましょう。
面積・形状
建物のプランに合う形状や面積かを確認します。四角い地形と変形地では、設計の自由度や建築費に違いが出る可能性が高いため、間取りのイメージとの相性を考えながら判断します。
高低差
土地に高低差がある場合、造成や擁壁工事が必要となり、追加コストが発生しやすいです。階段やスロープの設置などバリアフリーの観点でも影響を受けるため、慎重に検討しましょう。
災害リスク
洪水ハザードマップや土砂災害マップなどを参照し、自然災害のリスクを把握しておきます。浸水・地滑りなどの危険性が高いエリアでは、保険加入の要否や対策費用も考慮する必要があります。
道路
建築基準法上の「接道義務」が満たされているか、道路幅が4m以上かなどを確認します。道路が私道の場合、共有者との協定や通行料、管理費などが発生する場合もあり、トラブルの原因となることがあります。
隣地との境界
境界が不明確だったり、境界杭がない場合は、後々隣家との紛争が生じる恐れがあります。地積測量図や境界確定書があれば確認し、不安がある場合は専門家に依頼して境界の明示を行うほうが良いです。
地盤
先述のように、地盤が弱い土地だと地盤改良費が数百万円かかることもあります。既に地盤調査を実施済みなら結果を確認し、調査がない場合は購入前に簡易調査を行うことを検討すると安心です。
インフラ
下水道やガス、電気、通信回線などのインフラが整っているかも要チェックです。引き込みが必要な場合は費用や工事期間に影響が出るため、仲介業者や自治体に確認しておきましょう。
土地が見つからない場合の対処法
長期間探しても条件に合う土地が見つからない場合、以下の対処法を試してみると突破口が開けるかもしれません。
対処法①エリアを広げる
家を建てたい地域をあまりにも狭く限定すると、選択肢が極端に少なくなります。多少離れても交通アクセスが良い地域や、将来的に開発が進む可能性のあるエリアに目を向けることで、条件に近い土地が見つかる可能性が高まります。
対処法②条件を緩和する
絶対に譲れない条件と、ある程度妥協できる条件を再検討し、妥協点を見直します。例えば、土地面積を少し狭くしても建物の設計でカバーできる場合もありますし、価格をやや上げることで選択肢が増えることもあります。
対処法③建築条件付き・古家付きの土地も検討する
「建築条件付き土地」は、売り手指定の工務店やハウスメーカーで建てることが条件となるため、自由度が低い反面、土地価格が比較的割安だったり、間取りプランがスムーズに決まったりする場合があります。 また、「古家付きの土地」を解体して更地にすることで、通常の売り地よりも安価に購入できるケースもあります。
土地決定から注文住宅に着工するまでの流れ
土地が見つかり契約した後は、注文住宅のプラン作成や住宅ローンの手続きなどが待っています。流れを把握しておくと、スケジュール管理がスムーズです。
住宅ローンの事前調査
土地契約前後に、住宅ローンの事前審査を申し込むのが一般的です。借入限度額や金利条件をあらかじめ把握し、総予算を確定させることで、建物のプランニングに取りかかりやすくなります。
住宅の設計
工務店やハウスメーカーの設計担当者と打ち合わせし、間取りや外観、設備などを決定します。土地の形状や建築可能面積、用途地域などの制限を踏まえてプランを作成するため、土地探し中の情報がここで活きてきます。
見積もり・契約
設計プランが固まったら、工務店やハウスメーカーから工事見積もりを取得し、内容と金額をチェックします。必要に応じて交渉やプラン修正を行い、納得できる価格と仕様であれば建築請負契約を締結します。
住宅ローンへの申し込み
建築請負契約と土地の購入契約をもとに、正式に住宅ローンの申込みを行います。金融機関の審査を経て融資が承認されれば、引渡しや着工の段取りが整っていきます。
着工開始
地鎮祭などの儀式を行った後、工事がスタートします。土地の造成が必要であれば、先に地盤改良などを行い、基礎工事、上棟と続き、引渡しまで数か月かかるのが一般的です。
途中で変更を加えると工期や費用が増えるため、計画段階で慎重に検討しておくことが大切です。
注文住宅の土地探しで知っておきたい用語
土地探しの過程では、法律や設計に関する専門用語が多く登場します。以下の3つは押さえておくと役立つ用語です。
用途地域
都市計画法に基づき、住宅や商業など用途を制限するために定められた地域区分です。用途地域によっては建築できる建物の種類や高さ、床面積が制限されます。
建ぺい率
敷地面積に対して、建築物の建築面積が占める割合を示します。たとえば建ぺい率が50%の場合、100㎡の土地には最大50㎡の建築面積の建物しか建てられません。建物の形状やデザインに大きく関わる指標です。
容積率
敷地面積に対して、建築物の延べ床面積が占める割合です。建ぺい率とあわせて考慮することで、建物の高さや階数、延床面積を計画できます。容積率を超えると違法建築となるため、土地購入時に必ず確認が必要です。
注文住宅の土地探しは住まいづくりの大切な第一歩
注文住宅の土地探しは、家づくりの第一段階として非常に重要なプロセスです。工務店や不動産業者に相談して効率的に情報収集しながら、希望エリアや条件を整理し、現地見学や法的チェックを徹底して進めることで、後悔のない土地選びが可能になります。
また、災害リスクや地盤の状況、周辺インフラなどは住み始めてからの暮らしやすさにも大きく影響します。契約前には十分な調査を行い、必要に応じて専門家の意見を取り入れると安心です。
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