30坪の土地に建てる注文住宅の相場や、住宅会社にもらった見積もりが妥当な価格なのか分からず悩む人も多いでしょう。しかし、住宅を購入する機会は人生で何度もあるわけではないため、不安に思うのも当然です。
この記事ではエリアごとに30坪で建てる注文住宅の建築費用の目安をお伝えしています。
また、同じ30坪でも住宅会社によって価格に差がある理由や注文住宅ならではの費用を安くするコツも解説しています。
30坪という、限られた広さでも注文住宅であれば家族みんなが満足できる理想の家づくりが可能です。30坪で注文住宅を建てたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
30坪はどのくらいの広さ?
一般的に住宅の広さは坪数で表します。30坪というと注文住宅の全国平均37坪と比較すると少し狭く感じる広さです。しかし、家族3人~4人で住むのにちょうどいい広さと言われています。
とはいえ、30坪と言われても具体的にどれくらいの広さなのかピンとこない方も多いと思います。
「1坪は畳に換算すると約2畳分」というとイメージがわきやすいでしょう。具体的な数字で表すと、1坪は3.3㎡、30坪だと約99㎡です。
数字だけみると、さほど狭くは感じませんが、この広さいっぱいに家を建てられるわけではありません。地域ごとに建蔽率が定められており、実際の家の広さは99平米のうち30%~60%の広さになります。間取りの目安はリビングと部屋が3つくらいです。
30坪の注文住宅にかかる費用の相場
30坪の注文住宅の費用相場を知るためには、まず1坪あたりの相場を算出する必要があります。
本記事では住宅金融支援機構が調査した、令和4年の注文住宅の購入費用の調査データをもとに、相場を算出していきます。
土地をもっている場合
住宅金融支援機構によると、土地を持っている場合の注文住宅購入の平均価格は3,715万円でした。延べ床面積は122.8㎡で坪換算すると約37坪です。
平均購入価格を坪数で割ると、1坪あたりにかかった費用は約100万円でした。したがって30坪の注文住宅にかかる費用の目安は約3,000万円です。
土地をもっていない場合
家を建てる土地を持っていない場合の建築費用の全国平均は3,194万円でした。建築費用に加えて土地取得もかかるため、建築費用にかけられる予算は少なくなります。
また、取得する土地の面積も111.5㎡と、すでに土地を保有している場合に比べて小さくなる傾向にあります。
坪単価は約96万円、30坪の注文住宅を購入する費用の目安は約2,880万円です。
関連記事:土地込みの注文住宅の費用の相場とは?購入時のコツも紹介
【地域別】30坪の注文住宅にかかる費用の相場
地域ごとの注文住宅の予算の目安を、土地がある場合とない場合でそれぞれまとめました。
坪単価は関東、近畿、東海など大都市圏で高い傾向にあるため、建築費用の目安も高くなっています。
実際の費用は住宅会社によって異なりますが、自身が家を建てようと考えている地域の相場を把握しておくと予算を立てる際に役立つでしょう。
住宅金融支援機構が調査したデータをもとに、算出しています。
地域 | 土地あり | 土地なし |
北海道 | 2,910万円 | 2,860万円 |
東北 | 2,760万円 | 2,790万円 |
北関東信越 | 2,940万円 | 2,850万円 |
南関東 | 3,120万円 | 2,850万円 |
東海 | 3,060万円 | 2,940万円 |
北陸 | 2,790万円 | 2,670万円 |
近畿 | 3,150万円 | 2,760万円 |
中国 | 3,030万円 | 2,910万円 |
四国 | 2,850万円 | 2,700万円 |
北部九州 | 2,910万円 | 2,940万円 |
南九州 | 2,970万円 | 2,850万円 |
30坪の注文住宅の費用が変動する要因
同じ坪数でも、住宅会社によって費用に違いがあります。
その要因は住宅会社の企業規模や住宅の性能などによるものです。
詳しくみていきましょう。
要因①依頼する住宅会社によって異なる
住宅会社は大手のハウスメーカーから地元密着型の工務店など、その企業規模はさまざまです。
誰もが知っているような大手ハウスメーカーの建築費用に宣伝費などが上乗せされるため、坪単価は70万円~90万円と目安は高めに設定されています。
シンプルでローコストをウリにしているハウスメーカーでは30万円~50万円、地元の工務店は45万円~60万円ほどと、大手と比べると費用は比較的安く設定されていることが多いです。
もちろん住宅会社が提供するプランによっても坪単価はかわりますが、住宅会社の得意な施工や材料の仕入れ方、ブランド力によって坪単価は変わるため、費用も変動します。
要因②間取りや設備にオプションがついている
住宅会社によって、建築費用に含まれる項目は異なります。
例えば、照明やインテリアが建築費用に含まれている住宅会社もあれば、オプションとして別費用となる住宅会社もあります。
建築費用に含まれていれば、提示された坪単価が費用の目安となりますが、別費用の場合は建築費用に上乗せされるため、同じ坪数、坪単価でも費用に差が生じてしまうでしょう。
とくに自由度の高い注文住宅では自由にカスタマイズできる分、費用は高くなりがちです。
同じ坪数、坪単価は同じでも、どこまで建築費用に含まれているのかを確認しておきましょう。
要因③住宅の性能が高い
同じ30坪でも住宅の機能を重視すると、使用する建材も高くなるため坪単価が高くなり、建築費用は変動します。
例えば、耐震性や気密性、断熱性など一つグレードアップさせるだけで、100万円ほど費用が変動することがあります。
費用が安いと思いきや、建築費用に最低限の設備しか含まれていないこともあるため、見積書は細部まで確認するようにしましょう。
30坪の注文住宅にかかる費用を抑えるコツ
30坪とはいえ、注文住宅の建築費用は建売住宅や企画住宅と比べると高い水準です。費用を抑えるために価格だけで住宅会社を選ばず、費用を抑えるコツをおさえておきましょう。
コツ①本当に必要な設備だけをつける
住宅の機能性というと断熱性、気密性、耐震性、耐久性、省エネルギー性など快適に住むために必要な設備を指します。
家を建てる際は、地域の特性や周辺環境から、必要な設備だけを厳選するようにしましょう。
たとえば、耐震基準では耐震等級1を満たす必要がありますが、安心を求めるのであればさらに耐震強度を高めると質の良い生活が送れるでしょう。
高い質の良い材料を使えば耐久性が向上し交換頻度を減らせます。気密性や断熱性、省エネルギー性は光熱費削減につながります。
オーバースペックにならないよう注意しながら、快適性を高めましょう。
コツ②坪数を有効活用する
坪数を有効活用すると言うと、たくさん部屋を作る方がいいのではと感じるかもしれません。しかし30坪を有効活用するのであれば、広いリビングを作り、家を大きく見せるほうが壁などの設置費用を削減できるでしょう。
また、真四角の設計にすれば2階部分も同じ広さを確保できるうえ、外壁の工数も少なくなるため費用を節約できるでしょう。30坪を有効活用する方法はのちほど詳しく説明します。
コツ③住宅会社にきちんと予算を伝えておく
住宅会社には、自分の希望だけでなく予算もきちんと伝えておくことが大切です。家づくりのノウハウを蓄積しているため予算や坪数など、同じようなケースの施工事例も多いことが予想されます。そのため、きちんと予算を伝えておくとその予算内で、節約すべき部分とお金をかけるべき部分をプロの視点から提案してもらえるでしょう。
結果的に思ったより希望が叶ったり、思い切ったコストカットができたり、満足のいく家づくりが可能となります。
30坪を有効活用できる間取りの考え方
30坪の注文住宅では床面積を犠牲にせず、快適な住居スペースを確保するというのが基本的な考えです。空間をどう有効活用するかで住み心地や生活の質は大きく変わるでしょう。
では具体的なアイデアを紹介していきます。
屋根や天井を工夫してデッドスペースを活用する
30坪を有効活用するには、デッドスペースを収納やワークスペースなどの小部屋にするとよいでしょう。
例えば、階段下のスペースやキッチンの床下はパントリーとして活用できます。本来は屋根裏になる空間に小部屋を作り、ワークスペースにしたり本棚を置いたり、プライベートな空間として活用すると、特別感も味わえます。
デッドスペースの活用は、建売住宅や企画住宅ではできない注文住宅ならではの活用方法と言えるでしょう。
吹き抜けで圧迫感を減らす
30坪というさほど広くもない空間にたくさんの部屋があると、圧迫感で部屋がごちゃごちゃして見えます。圧迫感を失くし部屋を広く見せるためにはリビングを広く取り、さらに吹き抜けを作ることです。高さが加わりより開放的な空間になります。しかし、吹き抜けをつくると1階の冷暖房が利きにくかったり、キッチンの作業音が2階までに響いたりといったデメリットもあるため、メリットとのバランスをとりつつ、間取りを決めましょう。
生活音に配慮する
水回りは一つにまとめると水の流れる音を集約できます。また、トイレを寝室の横に設置すると、トイレットペーパーを使う音や水を流す音が響いてしまい、家族の睡眠の質を下げてしまいかねません。また、子供部屋は階段やほかの家族の寝室とはなしておくとよいでしょう。
帰宅時間が遅かったり就寝時間が違ったりするため、物音で目を覚ましてしまうこともあります。
家族の生活する時間帯を考慮し、生活音の影響を受けにくい間取りを考えましょう。
30坪の注文住宅を建てる会社を選ぶ際のポイント
注文住宅を建てる会社選びのポイントを3つお伝えしていきます。
大きなポイントとして、顧客の立場に寄り添った対応やサービスがある会社を選ぶとよいでしょう。
ポイント①施工実績は豊富か
住宅会社の事例の多さが重要ですが、その中でも30坪という決して広くはない土地での施工事例が豊富であるのかは住宅会社を選ぶ重要なポイントです。同じような広さで、どんな間取りが可能なのかイメージしやすいでしょう。
注文住宅会社のホームページに掲載している事例集は、坪数が明記されていたり坪数で事例を絞り込めたりするため、自身の希望と近い施工事例がないか確認しておきましょう。
ポイント②費用は明瞭に提示されているか
建築費用にどんな項目が含まれているのか、分かりやすく提示されているか確認しておきましょう。付帯工事では一般的に、地盤調査や、ライフラインの引き込みなどが含まれることが多いです。
しかし、外構工事などの費用は、住宅会社によっては付帯工事に含まれず、オプションとして扱われることもあります。こういった、住宅会社によって対応が異なる項目に対して、明記されているかは予算にもかかわるため重要です。明確に提示されていなければ、実際に見積もりを出してもらったときにはじめて予算オーバーに気づくこともあるため、おさえておきたいポイントです。
ポイント③保証制度があるか
家は建てて終わりではなく、定期的なメンテナンスをすることで傷みにくく耐久性も高まります。そのため、アフターサービスや保証が充実しているかどうかは注文住宅を購入するうえで重要です。
通常、新築住宅では10年間の保証が法律で義務付けられています。この10年を超えて補償をしてくれる住宅会社を選びましょう。住宅会社によって、補償の長さやメンテナンス内容は異なります。また、保証が受けられる条件などもことなるため、確認しておきましょう。
執筆者からのコメント
今回は30坪という土地に注文住宅を建てる際の費用の目安や、費用を抑えるコツについてお伝えしました。30坪という限られた土地でさまざまな工夫を凝らすのに注文住宅はぴったりです。
さまざまな家族の希望をかなえてきた注文住宅会社だからこそ、費用をおさえつつ家族のライフスタイルにあわせた設計ができるのではないでしょうか。
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