土地込みの注文住宅の費用の相場とは?購入時のコツも紹介

マイホームを建てる際、注文住宅は高いというイメージから、検討すらあきらめてしまう方は多いのではないでしょうか。実は全国的に見ても住宅本体の平均価格に大きな差はありません。注文住宅の価格差は土地の取得にかかる費用の割合が増えることで生じます。

そこで、本記事では土地取得費用と建築費用の予算配分の目安をエリアごとにまとめました。
また、予算の決め方や低予算で注文住宅を建てるコツもお伝えしています。

注文住宅は自由度が高く建築費用が高くなりがちです。そのため、エリアごとの相場を把握し土地に費用をかけすぎないように予算を立てましょう。

土地込みの注文住宅の費用の相場

土地代込みの注文住宅を建てたいと考えたとき、どのくらいの予算が必要なのか相場を知ることが大切です。とくに土地代は注文住宅の購入費用を大きく左右するからです。

まずは、費用の相場を見ていきます。

エリア別にみる注文住宅の費用の相場

建築費用の全国的な平均相場はおよそ3,195万円、土地取得にかかる費用は1,500万円ほどです。

これを踏まえ、エリアごとの土地取得費用と建築費用を見てみましょう。

〈全国のエリア別 注文住宅費用の相場〉

エリア 建築費用平均(万円) 土地取得費用(万円) 平均総額(万円)
首都圏 3,118 2,288 5,406
近畿 3,133 1,760 4,893
東海 3,394 1,300 4,694
北海道 3,428 1,002 4,430
東北 3,151 886 4,037
中国 3,286 1,026 4,312
四国 2,960 909 3,869
北部九州 3,327 1,127 4,454
南部九州 3,135 880 4,015

〈関東エリア別注文住宅費用の相場〉

建築費用(万円) 土地取得費用(万円) 平均総額(万円)
茨城県 3,255 827 4,082
栃木県 3,158 773 3,931
群馬県 3,280 790 4,070
埼玉県 3,273 1,659 4,932
千葉県 3,217 1,434 4,651
東京都 2,960 3,663 6,623
神奈川県 3,013 2,472 5,485

参照:住宅金融支援機構 2022年度集計表

ご覧のように、建築費用に大きな地域差はありません。注文住宅の費用に地域差が生じるのは土地の取得費用が大きく関係しています。

とくに東京や神奈川は地価が高く、土地代だけで費用全体の半数を占めています。一方、都心へのアクセスが良い茨城や栃木の土地取得にかかる費用は費用全体の2割程度です。
このように家を建てる地域によって、建築費用と土地の取得費用のバランスが変わります。

自身が住みたいエリアの費用バランスを把握しておくと、予算を立てやすいでしょう。

関連記事:注文住宅の土地の探し方や注意すべきポイントをわかりやすく解説!

注文住宅の費用の内訳

注文住宅の費用の内訳は以下の通りです

〈建築費用の内訳〉

項目 内訳
住宅本体工事費 ・仮設工事費

・基礎工事費

・内装工事費

・木工事費

付帯工事費 ・地盤調査費

・ライフラインの引き込み工事費

・インテリア/空調の設置費

・外装工事費

諸費用 ・設計費

・不動産登記費

・ローン手数料

・住宅保険費

・奉事費(地鎮祭や棟上げなど)

・各種税金(消費税/印紙税/固定資産税など)

主な費用は上記の通りです。これに土地購入費用がプラスされます。

住宅本体の工事費用は全体の70%、付帯工事が15~20%、諸費用は10%が目安とされています。
先ほどの茨城県の注文住宅の平均価格に当てはめてみましょう。

建築費用約3300万円のうち、本体工事費用が2,310万円、付帯工事費用が660万円、諸費用が330万円というのがおおよその内訳です。

これに仲介手数料や税金、不動産登記の代行費用など、土地の購入にかかる費用がプラスされます。

税金や奉事の初穂料、書類作成の代行費用など住宅の建築に間接的にかかる費用も忘れずに予算に組み込みましょう。

土地込みの注文住宅の予算はどう考える?

注文住宅の予算を立てる際、自身の収入を目安に考えると良いでしょう。
一般的には年収倍率を用いて予算を決めます。

年収倍率は購入費用を年収で割ったものです。
例えば、年収600万円で4,000万円の家を購入したのであれば、年収倍率は約6.7倍という具合です。

住宅金融支援機構の2021年度 フラット35利用者調査よると、土地代を含む注文住宅の年収倍率は全国平均で7.5倍です。首都圏の年収倍率の平均は7.8倍と全国平均を上回っています。(参照:2021年度フラット35利用者調査

したがって、年収が600万円の方が首都圏で注文住宅を検討するのであれば、4,680万円を予算と考えるとよいでしょう。

土地と建物の価格のバランスのとり方

先ほどお伝えしましたが全国の注文住宅の建築費用の平均は3,195万円、土地の取得費用の平均が1,500万円です。このことから住宅購入における建築費用の割合は全体の7割、残り3割が土地取得費用ということがわかります。

注文住宅の購入を検討する際、基本的にこの7:3の比率を基準に予算を振り分けるとよいでしょう。
とりあえず良い立地の土地だけ押さえておこうと、目安の3割を超える費用を土地代として使ってしまうと、住宅の建築にかけられる費用はその分少なくなります。
そうすると住宅の機能性を妥協することになるなど、思ったような家が建てられず結果的に後悔する可能性もあります。

年収倍率や現在の環境から最初におおよその予算を決め、建築費用と土地取得費用の配分を決めましょう。

【予算別】建てられる土地込みの注文住宅

注文住宅は予算によって、間取りや設備面などの自由度が決まります。しかし、少ない予算で建てたい場合、土地を購入するエリアや間取りなど、住宅購入において大事な部分でコストを削減していくしかありません。
ここでは予算別にどんな住宅を作れるのかできることと妥協すべき点などをお伝えしていきます。

予算1,000万円の場合

土地代込みで注文住宅を希望するのであれば、かなり低い水準といえるでしょう。
まず、家を建てるエリアや間取りなどがかなり限られます。
最近は1,000万円以下で建てられるローコストのハウスメーカーもあるため、土地の問題さえクリアできれば1,000万円台の予算でも家は建てられます。

しかし、1LDKや2LDKでなおかつ平屋であったり、土地も駅から遠いエリアや街の中心部から外れた場所になったりすることがほとんどでしょう。
土地代込みの建売から自分の希望に近い家を選ぶ方がよいかもしれません。

予算2,000万円の場合

2,000万円から土地代も支払うとなると、十分とは言えない予算です。そのため、建築費用と土地取得費用のバランスが重要になります。土地代を1,000万と見積もっても建築費用は1,000万円台です。良い立地に建てるのか、住宅の機能にこだわるのかでも予算の配分は変わるでしょう。間取りや部屋数は限られ、使用する建材なども安価なものしか選べません。しかし、一人暮らしや夫婦二人で暮らすシンプルなデザインの住宅であれば注文住宅の良さを活かせる可能性もあります。

予算3,000万円の場合

全国平均から考えるとやや少ないながら、土地を購入するエリアによっては注文住宅を建てられるでしょう。2,000万円台ではかなわなかった広いリビングを作れたり、部屋数を確保できたり、機能性を求めたりもできます。しかしその分、こだわらない部分はとことんコストをおさえる必要があります。大手ハウスメーカーではなく地域密着型の工務店などで建てるとよいでしょう。

予算4,000万円の場合

注文住宅としては平均的な予算です。土地代を1,500万円としても建築費用に3,000万前後の費用が使える計算です。首都圏エリアなど地価の高いエリアでなければ十分と言える予算でしょう。
家族が多い家庭でも部屋数を確保しつつ、全員が集まれる広いリビングや吹き抜けのある開放的なリビングなど、ある程度の希望が叶うのはこの価格帯からです。

予算5,000万円の場合

5,000万円の予算があれば土地代が1,500万円かかったとしても、建築費用に3,500万円以上費やせます。注文住宅ならではの自由な設計ができるでしょう。

また、建築費用以外の外構工事や設備のグレードアップも可能な金額です。土地取得費用によっては完全に希望通りとはいきませんが、それでもかなり理想に近い家づくりができます。

予算が少なくても土地込みの注文住宅を購入するコツ

予算が少ない場合、家づくりで自分が何を大切にしているのかを整理してみましょう。また予算についても検討段階からかかる費用をしっかり把握しておくと、予算オーバーを防げます。
こういったコツを6つお伝えしてまいります。

  1. ・①家を建てるエリアを考える
  2. ・②住宅におけるこだわりのポイントを決める
  3. ・③部屋数が少ない間取りにする
  4. ・④実績のある住宅会社に依頼する
  5. ・⑤土地にお金がかけすぎないように注意する
  6. ・⑥工事費も含めて計算する

コツ①家を建てるエリアを考える

予算が少ない中で注文住宅を建てるのであれば、まずは建てるエリアを検討するとよいでしょう。
土地の価格が高いエリアを選ぶと、土地取得費用の占める割合が大きくなります。低いエリアであれば土地取得費用の割合が少なく、建築費用に予算を割くことができるでしょう。

例えば同じエリアでも線路を挟んだ2つのエリアで、土地の相場が異なることがあります。
同じ県内や市内でも街の中心部を避けたり、駅や商業施設から離れた地価の安いエリアで検討したりするとよいでしょう。

コツ②住宅におけるこだわりのポイントを決める

予算が少ない場合、お金をかけてでもこだわりたいところと、妥協できるところをはっきりさせておきましょう。
設備や間取りなど、グレードを一つ上げるだけで簡単に予算オーバーしてしまうことがあります。
必要のない設備や部屋をカットすればその分、こだわる部分に費用をかけられるでしょう。

例えば、広いリビングにこだわりがあれば、1階部分に和室などを作らずあえてリビングだけにすれば、仕切りを作る費用や畳を設置する費用をカットできます。
予算が少ない場合、すべての希望に沿った家は建てられません。家づくりにおいて自分がこだわりたいポイントを決めて、お金をかける部分とグレードダウンやコストカットできる部分を明確にしておきましょう。

コツ③部屋数が少ない間取りにする

部屋数を必要最低限にして、シンプルな間取りにするとコストを抑えられます。
部屋数が少なければ、壁やコンセントを設置する数も減り、建材費や材料費のコスト削減につながるでしょう。

例えば、小さな子供がいる場合、あえて子ども部屋をつくらずフリースペースとして広い部屋にしておくのもおすすめです。子供が成長し、家族構成が定まった後に部屋を分割するリフォームを考えるとよいでしょう。また、同じ部屋数であれば平屋よりも2階建ての方が、基礎工事などのコストも削減できます。

コツ④実績のある住宅会社に依頼する

低予算で注文住宅を建てるなら、低コストでの施工例が多い住宅会社を選ぶとよいでしょう。
事例が豊富だと、少ない予算内でどんな設計が可能なのかイメージしやすいからです。
また、土地取得費用の割合を下げるために、狭い土地や変わった形の土地を購入する場合もあるでしょう。その場合、一般的な住宅会社では追加費用がかかり割高になるケースもあります。
しかし、注文住宅会社の中には狭小地や変形地を得意とし、実績を多く持つ会社も存在します。特殊な事情や予算を加味したうえで、さまざまな提案をしてもらえるでしょう。

コツ⑤土地にお金がかけすぎないように注意する

注文住宅の総費用は、土地取得費用で大きく変わります。予算が少ない場合は住み心地を左右する建築費用は確保しておきたいところです。先ほどお伝えしたように建築費用と土地取得費用にかける予算の割合は7:3と言われています。

予算が少ない場合は、土地取得費用の割合を下げるのも注文住宅を建てるうえで大切です。建てるエリアにこだわりすぎたり、必要以上に広い土地を求めたりしないようにしましょう。

コツ⑥工事費も含めて計算する

土地代込みの注文住宅の費用の内訳は大きく分けると、土地取得費用と住宅本体の価格です。しかし、予算を考えるときに忘れがちなのがそれに付帯する工事、職人さんに支払う人件費や税金などの諸経費です。付帯工事は総額の15~20%、諸費用は10%が目安とされているため、忘れずに予算に含めましょう。

また、検討段階で出してもらった見積もりから、実際に打ち合わせをおこなって詳細な見積もりを出してもらうまでに物価高が進むなど、思っていた以上にお金がかかることもあります。
余裕をもった予算配分が大切です。

注文住宅の土地代にローンは使えるの?

注文住宅は通常、土地と住宅の契約を別々におこないます。
土地取得にかかる費用も住宅を建てる費用もそれなりにお金がかかるため、できればローンを活用したいところです。

後程詳しく解説しますが、結論から言うと、土地代もローンを利用できます。

まずは、住宅ローンのルールから解説していきます。

住宅ローンのルール

国土交通省の令和5年度民間住宅ローンの実態に関する調査によると、令和4年に新たに住宅ローンを組んだ人の約78%が変動金利を選択しています。(参照:令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

変動型金利は低金利というメリットがありますが、一方で急に金利が上昇するリスクも考えられるでしょう。その対応策として、多くの金融機関では「5年ルール」という急激な金利上昇による返済の負担を軽減する対策がとられています。通常、半年に一度金利の見直しがありますが、万が一金利が上昇しても5年間、返済額は同じです。

5年ごとに返済額を見直し、6年目に金利が急上昇した場合は「125%ルール」が適用されます。これは返済額を見直した6年後、その前の5年間の返済額の125%までしか増額できないルールです。月々の返済額が10万円だった場合、6年目からは最大でも12万5千円までしか上昇しません。
年間は返済額が変わらないので、貯金や収入の見直しがしやすいのがメリットです。

しかし6年目から金利が大幅に上がってしまうと、返済額に対して利息の割合が多くなり、原本が減らない可能性もあり、返済期間が長引いてしまうこともあります。

住宅ローンを利用できるタイミング

住宅の購入では、正式な契約を結ぶ前に、購入の意思を表明するために購入申込をします。
まずこのタイミングで、金融機関に住宅ローンの事前審査を申し込みましょう。
事前審査が通らないと、支払い能力があるのかわからないため、正式な契約に進めないことがあります。

契約後、実際に融資が下りるのは物件の引き渡し時です。引き渡し日に購入した人が不動産登記にて正式な所有者となります。
なぜ、引き渡し日にしか融資が開始されないのかというと、登記がないと物件を担保として登録できず、融資を開始できないからです。

それまでにかかる土地取得や着工金などの費用は、ローンで賄えないこともあるため住宅購入資金としていくらか準備しておくと安心です。

住宅ローンの仕組み

先ほどお伝えした、土地取得や着工金などの費用をすべて含め、住宅ローンを利用する方法があります。
土地代と住宅それぞれでローンを組む、「2本立ての住宅ローン」と「つなぎ融資」です。自己資金が少ない場合、これらを検討するとよいでしょう。
それぞれの仕組みを詳しく解説します。

つなぎ融資

つなぎ融資とはその名の通り、融資が開始される引き渡しまでの間に生じる、土地の購入や着工金、中間金などの支払いに対し、つなぎとしてその都度受けられる融資のことです。

それまでに受けた融資は引き渡しの日に開始する本来の融資と一緒に返済していきます。

土地先行融資

土地の購入にローンを利用する場合、同時にそこに建てる住宅も一緒に事前審査を受ける方法です。
2本立てローンと呼ばれ、土地の引き渡しのときと住宅の引き渡しのときの2回、融資が受けられる仕組みです。あくまで土地と住宅の購入に対しての融資なので、つなぎ融資とは異なり、着工金や中間金などは自己資金で賄う必要があります。しかし、住宅の融資については土地を担保として融資を受けられるため、つなぎ融資よりも低金利といったメリットがあります。

住宅ローンを利用するときの借入額の決め方

住宅を建てる際、自分がどのくらいの融資を受けられるのかで予算が決まり、作れる家も変わってきます。この記事でもお伝えしたように借入額はまず、年収倍率を参考にするとよいでしょう。
建てたい住宅の土地代を含む金額を年収で割った数値です。
土地付きの注文住宅の年収倍率は、全国平均で7.5倍です。これくらいの倍率であればおおよそ予算は適切であると言えるでしょう。しかしこの金額は、金融機関から借りられる最大の金額です。

そのため、借入額はもう少し余裕を持っておくと安心です。この場合、返済比率という年収のうち年間でどれくらい返済できるのかを示す割合を計算してみましょう。

返済比率は「年間返済額÷年収×100」です。

返済比率は20%~25%程度であれば、無理なく返済できると言われています。これより低い割合だと、返済期間は長くなります。しかし住宅ローンにかける割合が高ければそれだけ家計に負担がかかるため、年収に見合った予算、借入額を見極めることが大切です。

執筆者からのコメント

今回は注文住宅の土地込みのエリアごとの相場や低予算で建てるコツについてお伝えしました。
低コストで注文住宅を建てるのであれば、建てるエリアは重要です。土地取得費用と建築費用の予算の比率は3:7が理想的です。土地付きの注文住宅は建てるエリアによって料金が変わるためこの比率を目安に、土地代が高くならないような予算配分にしましょう。

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カテゴリー: 住宅について, 土地について パーマリンク

監修者

池田 恵子

ファミリア株式会社 取締役

略歴

  • アトリエファイ建築研究所
    (建設・現場監理に従事。)
  • 池田林業株式会社
    (設計・現場監理に従事。後に取締役に就任し現在に至る。)

資格